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[試合後談話]2024.2.24

井上拓真! 鬼門の初防衛戦に倒す覚悟。

 WBA(世界ボクシング協会)バンタム級タイトルマッチが24日、両国国技館で開催された「Prime Video Presents Live Boxing 7」のメインイベントとして行われた。チャンピオンの井上拓真(28=大橋)が、”鬼門”とされる初防衛戦の相手に選んだのは、世界2階級制覇を目指すジェルウィン・アンカハス(32=比)。IBF(国際ボクシング連盟)スーパーフライ級王座を9度防衛した実力者だ。

拓真が渾身の右ボディで倒して勝った!

 接近戦では、手数を緩めないアンカハスの連打をスウェイとダッキングで、ディフェンス力の高さを披露した拓真。中間距離から先に踏み込んで倒す努力を続けたが、タフなアンカハスは、手数で応戦。左と右の返しで、拓真を中に入れさせなかった。試合が動いたのは、9回、右ボディアッパーを2発見舞った拓真が、この試合初のダウンを奪うと。膝をついたアンカハスは顔を歪めたまま立ち上がれず。拓真が初防衛戦に成功した。

 試合後のリングインタビューでは、試合当日まで不安だったことを明かした拓真だったが、倒して勝ったことに「接近戦で打ち勝てたことは自信になった」と安堵の表情を浮かべた。

採点表

 笑顔で会見の席に着いた拓真は「今日の試合は過去イチの強敵で、初のメインで良い結果、内容で終われてホッとしている。相手が前に出てくるのは想定していて、足を使ってポイントアウトすることもできたが、それをやってしまうと、いつものつまらない試合になってしまうので、あそこは打ち合って、打ち勝てたので、今後の自信になった」とホッとした表情を浮かべた。

 アンカハス対策も入念に行われていた。「練習の時から、くっ付いたらボディと耳にタコができるほど言われていた。きつい練習だったが、効果が出たと思う。アンカハスはスーパーフライ級で9回防衛したチャンピオンで、自分はチャンピオンになったばかりの新人みたいな感じで、名チャンピオンにどれくらい通用するのか、始まるまでは不安があった。そんな相手に勝てて今後の自信になった」と、最強挑戦者に勝って大きな自信をつけた。「不安な時こそ練習量で消すしかない。今日の試合は不安もあったが、練習内容としては、これまでで一番自信があった」とも言い加えた。

歓喜! 井上ファミリー強し。

 「ソリス戦で言うと、足使ってポイントアウトという、一定の試合内容が続く展開で、お客さんに退屈させてしまう。今回は山場を作りたいと思った。お客さんが、お!っと思うような試合がしたかった。兄がいて、どうしても比べられてしまう。自分も盛り上げられる試合がしたかった」と、世界的スーパースターにまで成長した兄にも負けない勝ち方にもこだわっていたことを明かした。「自分のスタイルに足りないものを取り入れる、井上拓真というボクシングを完成させるには、アウトボクシングだけではなく、打ち合って山場を作っていきたい。基本は変わらないが、どう攻撃的な部分を入れるかということ」と説明した。

 ラウンド終わりに笑みを見せていた理由を聞かれると「打ち合いというのが過去、そんなにない。今回は強い相手に、こんな良い打ち合いが出来ているという楽しさがあった」と試合を総括した。

 今後に関して、「4団体統一の重圧もあるが、勝ち続けることが自信につながるので、勝ち続けていきたい」と話した拓真は、この日、WBC王座を獲得した新チャンピオンの中谷潤人(M・T)に触れ、「お互い勝ち続ければ、いつかは当たるので、その日まで勝ち続けられるように頑張っていきたい」と記者の問いに答えた。

倒す拓真!アンカハスは立ち上がれず。

 父、真吾 トレーナーは、「試合内容はすごく良かった。課題も見えたがすごく良かったと思う。進化した部分は、外したら必ず返す、これをしっかり出してくれて。色んな引き出しが増えてきた」と拓真の飛躍に期待を寄せた。

 手放しで、拓真を称えたのは大橋秀行会長。「今日は兄貴を超えたなと思う。拓真にとって過去イチの強豪だったが、過去イチの内容だった」と、記者の質問に答えた。これには、拓真も破顔しながら「超えたって言ってもいいんですかね?」と戯けて見せた。

一発に泣いたアンカハス

 悔しそうな表情を浮かべて会見場に姿を見せたアンカハスは「このような試合を組んで頂き、関係者に感謝したい。全てを出し切って勝ちに行ったが、残念ながら自分の思うような結果になりませんでした。この試合を見て、頑張った姿勢を見て頂けたら嬉しく思います」とファンと関係者に感謝の気持ちを伝えた。

 試合に関して「一つのパンチ、ボディが効いてしまったのが、本当に悔しい。自分のキャリアの中で、初めて完璧なタイミングでパンチが入るという経験をしてしまった。自分も拓真に一生懸命ボディを当てようとしたが、それに注意が向きすぎた、というのもあったかもしれない。本当にひとつのパンチが勝負を決めてしまった。今日は彼が勝る選手だったのだと思う」と被弾した拓真の右ボディを悔やんだ。


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