那須川天心! 不完全燃焼。

　那須川天心(25=帝拳)が23日、エディオンアリーナ大阪で開催された「Prime Video Presents Live Boxing 第6弾」のセミファイナルに登場。プロボクシング3戦目にして、早くも世界ランカーと対戦。54.8kg契約8回戦で、WBA(世界ボクシング協会)とWBC(世界ボクシング評議会)の両団体のバンタム級14位、ルイス・ロブレス・パチェコ(25=メキシコ)を相手に異彩を放った。

　持ち味のスピードと左ストレートの上下の打ち分けが光った那須川天心。ロブレスも試合巧者ぶりを見せて、世界ランカーの実力を示した。しかし、3回終了後にコーナーに戻ったロブレスは、右足を痛めたことを理由に棄権を申し出た。結果的には3回終了時TKO勝利となったが、倒すことを目指していた那須川は、苦笑いして勝利を受け入れた。

　試合後、記者会見場に笑顔で入ってきた那須川は「ここからという時に終わったが、相手の気持ちを折ったな」と完勝をアピール。相手が足を痛めたことは「わからなかった」と答えた。

　3ラウンド、プレスをかけて先に仕掛けた那須川は、手応えを感じていた。「ボディが入ったら効いてた。う〜って言ってた。4ラウンドがあったら、まとめに行ってた」と振り返った。

　自身の成長にも手応えを感じたという那須川は「プレスをかけられるようになった。無駄な動きをしないで、自分から攻めていけた。前の手が良くなった。差し合いで負けなくなった。しっかりガードできた。以前は、避けてたが、ガードできるようになった。ガードして、相手の攻撃を確認して攻めた。全局面で上まわって勝ったので、ロマチェンコ勝ちですよ」と笑顔で語った。

　KO宣言は、果たせなかったが、「進化してるものをお客さんにも見せられた。これじゃ負けないというのを見せられた。次はTKOからTを抜いてKOですかね」。今年の目標を問われると「日本でも東洋太平洋でもいいので、ベルトが欲しい」と胸の内を明かし、「やるとなったら、どこでも、誰とでもやる。世界チャンピオンが(日本に)いるので意識する」と、バンタム級の世界王座にも関心を示した。

　会見に同席した粟生隆寛トレーナーも「僕と違って、減量はうまい方なので心配してない。バンタム級もそんなにキツイものではない。大丈夫なんじゃないかな」と激戦階級への参戦を後押しした。

　相手の棄権によるTKO勝利に関して、「安定感あるボクシングができた。もう少し見たかったが、あと1、2回で終わる展開になっていたし、終わるのは早いほうがいいので、これもボクシングなので良かった」と天心を労った。