「中年の星」が現役引退

　日本人現役最年長の西澤ヨシノリ(47)が5日、遂に引退を発表した。西澤はまだ昭和の時代、1986年に20歳でヨネクラジムからデビュー。度重なる怪我に泣かされ、初めてのタイトルとなる日本ミドル級王座を獲得したのが31歳の時。4度目の挑戦だった。

　その後、OPBF東洋太平洋タイトルを獲得するも、2度の世界挑戦に失敗し37歳定年の勧告を受けたが、元チャンピオンの特例ができたきっかけも西澤によるものだった。

　その後、OPBFライトヘビー級王座を失った40歳の西澤に、JBCは再び引退を勧告しライセンスを剥奪。日本での試合ができなくなった西澤は、活動の拠点をオーストラリアに移し、マイナー団体ながら3つの世界ベルトを腰に巻いた。2年前、45歳の試合が最後になったが、西澤は「選手としてすべてやりきった。悔いはない」とグローブを吊るす決心を固めた。

　これまで獲得してきたタイトルは実に9本で、その全てが30歳から40歳を過ぎてからのもの。「中年の星」として呼ばれ、日本人の海外挑戦の第一人者として日本重量級の礎も築いてきた。現役選手で西澤に憧れボクシングを始めた選手は少なくない。それだけの影響力を残してきたのだ。

　最後は古巣のヨネクラジムで引退会見を開き、25年の現役生活に別れを告げた。今後は、現在都内で開講している西澤ボクシングジムで後進の指導に励み、ゆくゆくは世界チャンピオンを育てたいと、まだまだ夢は尽きそうにない。