10周年「川崎から世界へ」

　神奈川県川崎市内にジムを開き、地域密着を掲げ防犯活動や市の行事などへ精力的に携わってきた川崎新田ボクシングジムが今年2月で設立10周年を迎えた。8日、川崎市内で後援会や川崎市の商工会、行政関係者など130名ほどの出席者を集め、記念パーティが盛大に開かれた。

　東日本ボクシング協会からは、大橋秀行協会長と金子健太郎理事が出席。開会の挨拶を述べた大橋会長は、今年2月に惜しくも世界獲りが叶わなかった黒田雅之を持ち出し「前回は予行演習だと思って、次の本番に挑めばいい。そのためにもご列席の皆様の金銭的な協力も必要」と笑いを誘った。その黒田は今秋に復帰戦を予定。「負けなければ見えない課題があった。次にチャンスがくれば必ず勝ちます。復帰戦は初心に戻り、派手は試合で盛り上げます」と再起を誓った。

　地域密着と人間教育を理念に掲げジムを率いてきた新田会長は、「これまでやってきたことに間違いはないと感じています。これからも選手スタッフ一同、一丸となって頑張ります」とお礼を述べ、ジムのA級ボクサー、黒田雅之、古橋大輔、片桐秋彦、西田光、尾島祥吾は揃ってホスト役に徹していた。

　会場ではジム10年史の映像も流され、08年の古橋と片桐の同門対決となった東日本新人王決勝戦では、セコンドには立たず観客席で涙ぐむ新田会長の姿が映った。流されるとは聞かされていなかった新田会長は「恥ずかしい」と照れるばかりであったが、愛弟子二人を見守る感動的な姿には出席者から大きな拍手が起こった。

　この日は今年2月に東洋太平洋女子バンタム級王座を獲得した三好喜美佳の祝賀会も行われ、主役の三好には後援会から贈られた10ウン万円の高級腕時計が新田会長から手渡された。「世界を獲ったらもう一桁上の時計をください(笑)」と笑いを取る余裕をみせ、IBF王座奪取に自信を感じさせた。

　パーティ終了後、新田会長は「毎日が濃縮されたジュースのようで、長いようであっという間の10年だった。これからも強い選手をどんどん出して行きたい。世界ベルトという形で川崎に恩返しがしたい」と、今後もボクシングを通じて川崎を盛り上げたいと話した。