田中が井上・弟に勝ち越す

■2013年度・高校選抜王者

[ピン級]中嶋憂輝(奈良・王寺工業高校)
[ライトフライ級]田中恒成(岐阜・中京高校)
[フライ級]中野幹士(東京・竹台高校)
[バンタム級]山内祐季(兵庫・相生学院高校)
[ライト級]李健太(大阪・大阪朝鮮高級学校)
[ライトウェルター級]沖島輝(福岡・東福岡高校)
[ウェルター級]沖島翼(福岡・東福岡高校)

　山梨県甲府市の緑が丘スポーツ公園体育館で、3月21日から24日まで開かれた『第24回全国高等学校ボクシング選抜大会(兼ジュニアオリンピックカップ)』では、上記の選手が優勝をはたした。三賞は敢闘賞に沖島輝、技能賞に中野幹士、最優秀選手賞に中嶋憂輝。ジュニアオリンピックカップは田中恒成が手にしている。田中は井上拓真(神奈川・綾瀬西高校)との接戦を制して通産3勝2敗。ライバル関係を築く「井上尚弥の弟」に初めて勝ち越した。
　田中のコメントなどの詳細は「続き」にて。

　直前にフィリピンのスービックで開かれた第5回アジア・ユース選手権では、開催国代表のジェイド・ボルネアに惜敗で銀メダル。それでも田中は、他国の関係者に、日本全体の進境が著しい印象さえ、十二分に与えた。
「自分では結果に納得しています。決勝の相手には、技術力でも劣っていると思いました。また、次をがんばればいいんで」(田中)
　それは、かつて「怖い」と語っていた外国人との試合へ、確かな手ごたえを感じている表れでもあるだろう。
　だからこそ、国内のライバルである井上には、差をつけた気がしていた。
「井上の動きを準決勝まで観て、以前より格段に強くなっているようには、見えませんでした。逆に、こっちは今までにない余裕を持って、連続RSC(レフェリー・ストップ・コンテスト)で決勝まであがったので、正直、いけそうだなと」(田中)
　ところが、いざ、リング上で5度目の対峙をした井上からは、並々ならぬ勝利への執念を感じた。1回が終わって2対2の同点。2回で6対7とリードを許したが、最終3回に13対12で、なんとか勝利を呼びこんだ。
　試合後も田中は、井上が今後も最大のライバルであることを痛感。
「“海外の強敵”と“国内のライバル”は別物ですね。国際大会もしんどいですけど、僕にとっては、井上との試合のほうがしんどい。国際大会で委縮しそうになったときも、“井上との試合を思い出せ”と自分に言い聞かせたくらいです。ライバルのおかげで、僕はここまできたんだと思いました」(田中)
　この一戦で、またひとつ成長した田中。だが、敗れた井上も、次はさらに強くなって、リングへあがるはずだ。何より、彼らが本当に求められているのは、「今」ではなく「未来」の栄光なのだ。高次元で繰り広げられる「田中兄弟 vs 井上兄弟」の弟対決は、夏のインターハイが、次回の舞台になる可能性が高い。