とどろきの奇跡を起こす!

　今月27日(水)、川崎市とどろきアリーナでWBA世界フライ級王者ファン・カルロス・レベコ(アルゼンチン)に挑戦する黒田雅之の公開練習が、所属する川崎新田ジムで行われた。
　練習前の会見で黒田は、地元開催の世界戦について「世界への夢を抱いてここまでやってきた。勝って感謝の気持ちを表したい。残り一週間、やり残しなく試合を迎えたい」と王座奪取に強い意欲を見せた。

■WBA世界フライ級フライ級タイトルマッチ12回戦
王者ファン・カルロス・レベコ(亜)VS挑戦者・黒田 雅之(川崎新田)
■会場:川崎市とどろきアリーナ
■日時:2月27日(水)
■お問合せ:川崎新田ジムTEL.044-932-4639

　地元開催で気合の入る新田渉世会長だが昨日、レベコの公開練習を視察し「王者はスピード、テクニック、パワーともに黒田を上回っている。油断もしていないようだ」と若干弱気な感想。それでも剣豪・宮本武蔵が著した兵法「五輪の書」の中の三つの先"先の先"を引用し、「王者にボクシングをさせず、先に仕掛けていきたい。黒田にはスタミナがあるし、最後まで短期決戦のペースで戦い抜いてくれるはず」と語り、最後には「勝つイメージは出来ている。とどろきの奇跡を起こす!」と自信を強めた。

　かつては剣道少年で2段の腕前だった黒田。レベコを「堅実でよく動く、まとまっている選手」と評したが、「下の人間には下なりの戦い方がある。剣道では受身の"後の先"だったが、今回は先に動く」と、笑顔の中にも鋭い眼差しを見せた。

　会見後、黒田は昨年度のミニマム級全日本新人王で日本同級8位・山本浩也(全日本パブリック)を相手に3Rのスパーリングを披露。圧力の強い山本を終始ボディで押し込むなど、階級を上げたことによる力強さを感じさせた。
　パートナーを務めた山本は「黒田さんはパンチが強い!打ち合う予定でしたが、ボディがきつく圧されてしまいました。絶対に勝ってほしい!!」とエールを送った。

　黒田はここまで130Rほどスパーリングを行い、その中には"怪物"井上尚弥(大橋)との50Rも含まれていると新田会長。「タイプ的にも似ているので、良い練習ができた。彼は19歳にして本当に凄い選手だが、黒田も負けてはいなかった。世界戦が決まって、技術的にも精神的にも向上した」と愛弟子の成長に目を細めた。

　最後に黒田は「フライ級に上げたことにより、この時期にしては信じられないほどに体が動く。減量が楽になった分、試合までには最高の状態に持って行ける」と、確かな手応えを感じていた。
　昨日の公開練習でその実力を垣間見せたレベコ。10cmの身長差がありながらも王者有利とされる中、フライ級に上げた黒田のコンディションとパワーは未知数。"とどろきの奇跡"が起きる可能性は充分にある!