まだ続ける

　9月1日にWBA世界スーパーフライ級王者・テーパリット・ゴーキャットジム(タイ)に挑戦し、判定2-0で敗れたことで、進退に注目が集まっていた名城信男選手が19日、所属先の六島ジムで緊急会見を行い、現役続行を発表した。

　笑顔で報道陣の前に姿を現した名城は、9月の敗戦後2か月間悩んだ末、「悩むということは何かやり残したことがある」と現役続行を決意したことを報告した。会見の席に六島ジム枝川会長の姿はなく「一からやり直す覚悟があるならやればいい。」と叱咤激励を受け「この席にいないのは一からやり直せ!というメッセージだと思う。」と気を引き締めた。

　現役続行を決定づける何かはない、としながらも「後援会や周りから続けろ」とアドバイスをもらい旧友の長谷川穂積(真正)からも背中を押されたという。また、10月13日に行われた「西岡利晃vsノニト・ドネア」の頂上決戦を現地で観戦し「30代でもあらだけ成長できるのは凄いと思った。」と先日引退した西岡チャンピオンの雄姿にも勇気づけられたことを明かした。

　9月1日の世界王者・テーパリットに挑戦した試合のビデオを見たという名城は「まだまだ自分は動けていると思った。」と自身を鼓舞すると「日本タイトルや東洋太平洋タイトルからやり直したい。(今まで主戦場としてきた)スーパーフライ級でもバンタム級でも、フライ級でも」と改めて一からの出直しを明言した。
　名城の再出発は、来週から始める長居陸上競技場で走り込みキャンプからとのこと。
　今年の大晦日には名城が主戦場としてきたスーパーフライ級のWBA・WBCの世界戦が同一会場にてそれぞれ行われ、WBCは王者・佐藤洋太(協栄)と赤穂亮(横浜光)の日本人対決が注目を集め、WBAは名城の挑戦を退けた王者・テーパリッドが、最後の覚悟で挑む河野公平(ワタナベ)と拳を交える。
　スーパーフライ級の日本戦線も強豪揃いとあって、一からの出直しも苦難の極みといえるが、元世界王者の名城信男が、再び世界のリングに立つ日は来るのか。再起をかける2013年の戦いはすでに始まっている。