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第12回WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXTが2日、後楽園ホールで開催された。メインイベントは、22歳差対決となったライトフライ級10回戦。赤コーナーからは、期待の新鋭、高見亨介(21=帝拳)がリングイン。青コーナーからは、この階級のアジアのトップ戦線を牽引し、OPBF・WBO-AP・日本王座を歴任してきた堀川謙一(43=三迫)が登場した。
試合は、初回から左ボディ、右アッパー、右ストレートを打って出た高見に対して、堀川がガードで凌ぐ展開が続いた。勝負がついたのは6回、ガードが遅れ始めた堀川に、高見が上下左右にパンチをまとめると、最後は右で、この試合初めてのダウン。レフェリーストップと同時に青コーナーからタオルが投げ込まれた。6ラウンド2分50秒。堀川の62戦目は、自身のラストマッチとなった。
控え室に戻った高見は、開口一番「疲れました」と笑顔で勝利を報告。「5ラウンドは休んだ」と切り出すと、「ズルズル行くとも思ったが、チャンスは来ると思ってた」と、試合中の心境を明かした。それでも、「一発では終わらないと思ったので、じわじわ行こうと思った。それが良かった」と、途中から戦い方を変えていた。
対戦した堀川に関して「クレバーでポーカーフェイス、やりづらかった」と振り返り、「デビューした時のメインで戦ってた選手。6戦目で戦えて良かった」と新旧入れ替わりを印象付けた。日本人選手との初対戦で勝利を挙げたことにも触れ「周りの評価が上がる。タイトル戦に絡めたらいい」と、今年の目標を掲げた。
控え室に戻った堀川は、コメントを取りにきた十数人の記者の顔をチラッと確認すると「母親に報告してるので、待ってください」とスマホの画面に目を戻して、打ちはじめていたメッセージの続きを急いだ。数分が過ぎ、堀川がメッセージを送信したのは確認できたが、沈黙が続いた。「どうぞ、質問してください」。重い空気を嫌ったのは堀川だった。記者からの最初の質問に「丈夫に産んでくれてありがとう。倒されたけど、はっきりしてる。体と頭は大丈夫。これからは、心配かけないように生きていきます」と報告したことを明かした。
やや目頭を熱くさせながらも「あんまり意味ないですけど、結構頑張ったんで、タンパク質とりながら…」と照れ笑いしたが、清々しく、「自分が弱いということなんで。全然ダメだった。やってきたこともできなかった。とても残念です」と試合を振り返った。
対戦した高見に話が及ぶと、「強かったです。攻撃力がすごかった。距離感も良かった。強いパンチを当てさせてもらえなかった。止まらせることもできなかった。できれば、負けないで強くなってほしい」とエールを送った。
試合のインターバルでは、「『体力がなくなる前に勝負しないと、打たれたダメージで、前に仕掛けられなくなるよ』と声をかけ続けたが、インターバル中もしっかりしていた」と振り返った加藤健太トレーナー。高見に関しては「ディフェンスを突破してくる攻撃力がすごかった」と称えた。
進退に関する質問には「負けたら引退するというつもりで戦ったのではない」と切り出したが、加藤トレーナーに目を向け直して、「もう(引退の決意を)覆すことはないと思います」と気持ちを伝えると、加藤トレーナーは、そっと頷いた。
堀川の気持ちを汲んだ加藤トレーナーは、「負けたら、やめるではなく、ボクサーとして、終わるということだと思う」と、大きな決断をしたベテランの心の内を代弁した。
これまでのボクシング人生を振り返った堀川は、「三迫ジムで色んなことを学ばせてもらった。成長はできたと思う」と、移籍してから8年間お世話になった三迫ジムの関係者に感謝した。