渡部の2冠防衛戦は…

　ウェルター級2冠王者・渡部あきのり(協栄)の日本初・東洋2度目の防衛戦が、挑戦者に日本同級8位・東洋同級6位の庄司恭一郎(戸高)を迎え1日、後楽園ホールで行われた。
　試合は初回、"倒し屋"の異名を誇る王者・渡部が、サウスポースタイルからワンツー・フックで挑戦者に襲い掛かる。タイトル初挑戦の庄司は出鼻をくじかれ、左ストレート、右フックを次々に被弾するも、ワンツーで応戦しラウンドを凌ぐ。

　庄司はリズムを立て直そうと体を振ってワンツーで動くが、王者の間合いを意識した左ストレートにグラつき、さらに上下へのパンチをまとめられてしまう。そして4ラウンド、渡部の左ストレートからの右フックをまともに受けた庄司は頭からキャンバスに倒れ、試合は即座にストップ。庄司は起き上がれずに担架退場となったがその後、意識ははっきりとしていることがわかった。

　4ラウンド1分32秒TKO。圧巻のノックアウトで2冠王座防衛に成功した"倒し屋"は、リング上のインタビューでマイクを握ると、同じく2冠王者のスーパーウェルター級チャーリー太田(八王子中屋)に「挑戦したい!やってくれ!!」と挑戦状を叩きつけた。

　試合後、控え室に戻った渡部は「動きや精神面などにまだまだ課題がある。今日はいい勉強になった」と自身を冷静に評価したが、チャーリーへの挑戦については「日本と東洋だけで満足するなら今のままでいい。だが、自分の目指すところは違う。世界ランカーのチャーリーを倒して世界を狙いたい」と意欲をむきだした。

　同席した金平会長も「同じ2冠王者としてチャーリー選手も意識しているはず。実現すれば最高の試合になるだろう。格は向こうが上だが、チャーリー選手にとっても渡部を倒してアジア最強を誇りたいと思う。渡部のボクシングはまだまだ若い。もっと落ち着いたボクシングをしないといけないが、チャーリーと戦えば渡部の潜在能力はより発揮されると思う」とビッグマッチを後押した。

　最後に渡部は「モチベーションの上がる相手と試合がしたい。自分はまだ若いし、勝っても負けても自分が成長できる道を進みたい」と強敵を追い求めた。
　2冠を保持する階級で国内・アジア最強を証明しつつある、渡部あきのりとチャーリー太田。真の"倒し屋"を決める、中重量級アジア屈指のビッグマッチは、はたして実現するのだろうか…。