今年の夏は熱い! 8.24は次への第一歩。

　「Life Time Boxing Fights 16」の発表会見が21日、都内の志成ジムで行われ、メインイベントに出場する木村吉光(26=志成)、セミの山内涼太(28=角海老宝石)、WBO-AP1位と対戦する鈴木稔弘(26=志成)、9月に37歳の誕生日を迎える藤野正文(36=DANGAN AOKI)ら4人が取材に応じた。試合は、8月24日(木)、後楽園ホールで開催される。ABEMAが第一試合から全7試合を独占生配信する。

　メインのリングに上がる木村は、今年1月以来、7か月ぶりの復帰戦となる。WBO-APスーパーフェザー級王座を力石政法(29=緑)に明け渡し、一度は引退を決意したという。王座陥落後、実家に帰ってからは走ることもせずにいた。そんな木村のもとに2月、野木丈司トレーナーから連絡が入った。「合宿の準備ができている」。1月の試合後、控え室に戻った木村に野木トレーナーは、一声かけていた。「これでやめるつもりじゃないだろうな」。野木トレーナーにとっては、リフレッシュ期間だったのだろう。松本圭佑(24=大橋)、堤駿斗(24=志成)、比嘉大吾(27=志成)と合同合宿に参加し、覚悟を決め直した。

　会見では「今年は世界チャンピオンになると、自分に約束してた」と初心に帰った。「世界ランキングを取り返して、世界に一歩でも近づけるように」と気持ちを入れ直すと「まだまだ、こんなもんじゃないゾッというところを見せたい」と抱負を語った。

　休養期間中に木村は、ABEMAの人気番組「シャッフルアイランド」の収録 のため、2週間ほどタイのプーケットに滞在。ムエタイ選手ともミット打ちする機会があったというが、今夜22時配信の同番組は、恋愛がテーマ。木村は「男になった」と明かしてくれた。こちらもお見逃しなく。

　再起をかけるのは山内涼太も同じ。日本王座を懸けて戦った4月の王者決定戦に関して「振り返ること何もない。弱かったなと思う。ガッカリです」と悔しさをにじませた。

　タイトルには3度見放されてきた山内だが、「全く気にしてないけど、全部負けてるんでプレッシャーに弱いんでしょうね」と記者団の笑いを誘った。

　再起することを決めた原動力となったのは、「シンプルに悔しかった。ここでは終わりたくなかった」というハングリー精神。自身の成長のために、前回の試合の2週間後には、練習を再開し、基礎からやり直しを始めた。「パンチをもらってもいいや」と考えていた自分とも向き合うきっかけとなった。打たれずに打つボクシングへの脱皮。「勝ちます」と力強い言葉で闘志を燃やした。

　プロ転向後、デビュー戦を含めて3試合全KO勝利で消化した鈴木稔弘。プロ初戦は25秒、2戦目は1分43秒、3戦目でWBO-APランキング8位を相手にしても5回1分9秒と、力の差を見せつけてきた。

　自分の本当の実力を知りたいという気持ちが強い鈴木にとって、8月24日に対戦するWBO-APランキング1位のバーゲル・ビクター(26=比)は、正に不足のない相手。いつもの淡々とした表情は崩さなかったが、「ワクワクよりも怖さが勝る」と本音が溢れた。

　国際経験も豊富な鈴木だが、フィリピン人選手との対戦は、アマチュア時代を含めても、今回が初めて。パンチ力に定評のあるフィリピーノとの対戦だが「負けてもいいから挑戦したいという気持ちに嘘はない。男なんで」と、プロ転向を決めた時と変わらず、挑戦することに貪欲なままだ。「僕の真価が問われる試合。泥臭くても勝ちたい」と気持ちが入った。

　会見中、鈴木がこの試合に勝てば、チャンピオンの力石政法(緑)との対戦も現実味が増すことに触れられた鈴木だが、「誰とでもやる。勝ちたいし勝てると思う」と表情を変えずに答えていた。

　勝てば8回戦という36歳の藤野は、プロボクサーの定年が撤廃されたことに触れ、「僕みたいなおじさんボクサーが夢を追う機会をいただいたことに感謝しています」と切り出したが、「やるからにはトップを目指してやっていく。負けたらやめる」と、昨年12月に4年3ヶ月のブランクを経てカムバックした覚悟を口にした。

　会見では自身のことを“おじさん”と修飾した藤野だが、「年齢なんて関係ないです。衰えてません」とキッパリ。今年9月には、37歳という以前のJBCルールの定年の年を迎えるが、年齢を言い訳にする気はさらさらない。会見でも、対戦相手の阿部愛斗(22=角海老宝石)の名前を挙げて「実力差を見せて、阿部選手を倒して勝ちます」とKO勝利宣言した。