井岡一翔がフランコと覚悟の勝負!

　WBA世界スーパーフライ級変則タイトルマッチが24日、東京・大田区総合体育館で開催され、前日計量で失格し、王座を剥奪されたジョシュア・フランコ(27=米国)と正義の証明のためにリングに上がった井岡一翔(34=志成)が、昨年大晦日以来、約半年ぶりに拳を交えた。

　この試合は、フランコの体重超過があったため、実際には、何キロで両選手がリングに上がったのかが気になるが、フランコが60.2kgだったのに対して、井岡は57.5kgだったことが、関係者より伝えられた。

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　前に出て、先に手を出してプレスをかけて試合を組み立てた井岡一翔。フランコは右ストレートを振り抜いたが、一翔はスウェイとステップで空を切らせた。試合は最終回まで続き、勝負はジャッジに委ねられた。

　試合後に放送席に立ち寄った井岡は、ゲスト解説を務めた内山高志氏の質問に「腹括って打ち合いました。判定までは考えてなかった」と、倒すか倒されるかの覚悟でリングに上がっていたと伝えた。

　プレスルームで試合後の取材に応じたフランコは「日本に来てからも体調は良かったが、井岡の方がよりシャープで精神的にタフだった。とにかく今言いたいことは、井岡の方がいい選手だった。言い訳はしたくない」と新チャンピオンを称えた。

　今後に関しては「チームメンバーと話して決める。今回の体重超過が自分にマイナスな影響はなかった」と前日計量で3キロオーバーしたことに触れたが、その理由に関しては、「井岡のドーピング検査に関することが理由ではない」と打ち明け、同席した、ガルシアトレーナーも「今後、理由を発表することになるが、井岡とは関係ない。フランコ自身の問題で、アメリカに戻る一歩手前だった。今は日本のレジェンド、井岡チャンピオンを称えたい」と口を揃えた。

　世界王者返り咲きを果たした井岡は試合後、記者会見で取材に応じ「相手の体重のことを言い訳に戦いたくなかった。自分との勝負の中で覚悟を持って挑んだ。そうすることで、ボクシングでも気持ちでも後ろに退がらず相手の距離で戦いきれた」とフランコの体重超過に関しては、一切問題視せず「ウエイトオーバーの件はどうでもいい、フランコとリングに上がり、試合を実現させることしか考えてなかった」とダイレクトリマッチに挑んだ覚悟を示した。

　チャレンジすることに重きを置く井岡は「12ラウンド戦い抜いて、自分の勝負への姿勢を見せたかった。今回は、駆け引きよりも目の前の相手を叩きのめす、やらなきゃ自分がやられるという気持ちの直感で前に出た」と勝つことへの執念を口にした。

　井岡の技術力を存分に堪能できた試合だったが、「フランコのワンツーやワン・ツー・スリー・フォーの『ワン』にカウンターを合わせ続けて、フランコの攻撃を止めた。そうすると、相手は警戒して前に出れないし、手数も続かない」とこの日の戦いを解説した。

　違法薬物に関する疑惑には「自分自身に後ろめたい気持ちもなく、世間に対しても後ろめたさはない。普段どう過ごして、どう生活をしているかは、自分自身が最もよく知っている」と、毅然とした態度を示した。その上で「大晦日前の尿検査が前回の試合後から半年も経って、どう保管されて、どう運ばれたかも明確にされていない。100%の証拠を提示してから、僕の発言を求めてほしい。WBAの承認を受けて時間が経ち、このタイミングで発表するJBCには、試合を中止にさせたいのかと疑ってしまい、不信感を抱いてしまう」との考えを示した。

　今後に関して「僕自身、色々な覚悟と恐怖を抱えながら戦いに挑んだ。負けたから終わりではなく、自分が終わりと思ったら終わり。挑戦することが人生だし、頑張っている人の横を一緒に走って行きたい。WBOの王者(中谷潤人=M・T)と統一戦をする必要があればする。今回は、ダイレクトリマッチとエストラーダとの戦いを優先にした。4団体にこだわりはなかったが、ご縁をいただいたWBAには感謝している」と述べ、WBC王者の「ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)との試合の実現が近くなっている」と、今の心境を語った。