井上尚弥が始動! 標的はカシメロ!

　日本中を熱狂させたWBSS(ワールドボクシング・スーパーシリーズ)バンタム級トーナメント決勝から1ヶ月、優勝を果たしたWBAスーパー・IBF世界同級王者の井上尚弥(26=大橋)が9日、横浜市内の所属ジムで練習を再開した。

　5階級制覇王者ノニト・ドネア(37=比/米)との歴史的な死闘で右目上をカット、眼窩底骨折の代償を負った井上だが、傷も塞がり、軽くジムワークができるまでに回復。この日からミット打ちを含めた練習を再開させた井上は感想を聞かれ、「久しぶりのミットはいいですね」と笑顔を見せた。

　練習前の会見で大橋秀行会長は、米国大手プロモート会社のトップランク社と契約した井上の次戦について、「来年の4月頃、ラスベガスで確定した」と明かし、「海外でも今までのようなインパクトのある試合で、尚弥の魅力を発揮してほしい」と期待した。

　一年をかけて行われたWBSSで世界を驚かせてきた井上も、「反響の大きさに、それだけのことをやってきたのだと思う」と実感。「この一ヶ月でダメージも抜け、心身ともにリラックスできたので、また来年の春に向け作り上げていきたい」と抱負を語った。
　井上は今週にも病院で目の検査を行い、医師の診断結果をもとに次戦までのスケジュールを逆算し組んでいくことになる。

　また、自身が統一戦の候補として挙げていたWBO王者のゾラニ・テテ(南アフリカ)を3ラウンドTKOで破り、正規王座に就いたジョンリル・カシメロ(比)について聞かれ、「もちろん標的ですよ。あとは交渉次第」と即答。KO率の高い超好戦的なカシメロを「怖いもの知らず、良い意味でバカ。ドネアより危険」と評価し、その上で「ドネア戦よりも慎重になるが、危険な前半をしのげばメッキは剥がれる」と予想した。

　最後にドネア戦で得た課題について、「瞬時のチョイスが若干ブレていた。言葉にするのは難しいが、感覚的には分かっている」と答え、「しっかりと修正し、来年も強敵相手に自分の強さを見せていく」と決意した。