ツナミの相手は15人兄弟

　WBA女子世界スーパーフライ級王者・天海ツナミ(山木)に挑むWBA同級ランカーのペッチサイルーン・ルークサイコンディン(タイ)が、ツナミと入れ代わる形で14日、都内のワタナベジムで公開練習を行った。

　父親でトレーナー兼マネージャーのユウハンヲ氏と姿を現した21歳のペッチサイルーン。通訳兼マッチメーカーのジョー小泉氏によると、ユウハンヲ一家は、上は26歳から下は4歳までの男7人、女8人の15人兄弟(全て45歳の父ユウハンヲ氏の実子。妻は一人)。しかも驚くことに全員がボクサー(ムエタイ含む)だそうだ。さらにもうすぐ16人目のボクサーが生まれる!タイでもやはり珍しく、テレビでも取り上げられる有名一家らしい。
　かつて自身もムエタイ選手として活躍していた父曰く、子供にボクシングをさせるのは、もちろん経済的な理由や夢を追うこともあるが、一番の理由は子供たちを麻薬から遠ざけたい。ボクシングを通じてピュアな心を持ってもらいたいからだと話した。

　3番目の兄マンファ(23歳)は元PABAスーパーフライ級王者で、弟のペッチスリヤー・ルークサイコンディン(19歳)は昨年、日本で吉田龍生(本田)と戦い、次戦はワタナベジムの和宇慶勇二との試合も決まっている。
　こんなボクシング一家に生まれたペッチサイルーンは、幼い頃からムエタイやボクシングを叩きこまれ、16歳でデビューしたムエタイではすでに60戦を経験。今年に入っても2戦(2勝)を消化している。

　ボクシングも4年前にデビューし、2度の世界挑戦経験がある。日本では1勝9敗の戦績が発表されていたが、タイの公式記録では13勝10敗とのこと。報道陣に全レコードをのせた資料が配られたので間違いはないだろう。この中には昨年、東洋王者・山口直子(白井・具志堅)との戦歴も含まれている。
　2度目の来日となった今回、家族からは「ベルトを持って帰ってこい」と激を飛ばされたそうで、ペッチサイルーンは「コンディションは100%。ハードな練習をしてきた。アウトボクシングで得意のカウンターをとりたい」と意気込んだ。

　会見後は父と娘のミット打ちを披露し、ワンツーボディを繰り返し確認していた。これを見た山木会長は「お世辞にも上手い選手じゃないが、ムエタイ選手は練習と実戦とでは全く違う。基礎体力もしっかりしているみたいだし、タフな印象がある、打たれ強いんじゃないかな」と分析。ツナミにも十分気を引き締めさせたいとした。