今週の海外注目試合

　今週の海外注目試合は10月13日(日本時間14日)に行われる2つの世界戦。まずは米国・ネブラスカ州オマハで行われるWBO世界ウェルター級タイトルマッチ。王者のテレンス・クロフォード(米国)が元WBA世界Sライト級暫定王者のホセ・ベナビデス(米国)を相手に行う初防衛戦。そしてもう一つはロシア・エカテリンブルグで行われるWBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)準々決勝のWBO世界バンタム級タイトルマッチ。王者のゾラニ・テテ(南アフリカ)がWBO同級6位の挑戦者ミーシャ・アロイヤンを迎える3度目の防衛戦だ。

　今年6月にジェフ・ホーン(オーストラリア)に9回TKO勝ちで3階級制覇をはたしたクロフォード。その初防衛戦の相手は、一階級下の暫定王者だった27戦全勝(18KO)のベナビデスとなった。パウンドフォーパウンドで常に上位にランクされているクロフォードが目指すのは、このウェルター級でのビッグマッチ、新旧ともに充実した世界王者たちとの統一戦だ。その意味で今回は弾みとなるようなパフォーマンスが求められるだろう。対するベナビデスは、15年に約2.4kgもの体重超過という大失態を見せた事があった188cmの長身選手。その後16年に階級を上げるも、同年8月に暴漢による銃撃を受るトラブルが発生しブランクを作った。今年2月、6月と復帰2連続KO勝利で2階級制覇のチャンスを得た。全勝同士の非常に楽しみな一戦となる。

　井上尚弥(大橋)の鮮烈な初回70秒KO勝利で開幕したWBSSシーズン2のバンタム級トーナメント準々決勝が、ロシアのエカテリンブルグでも開催される。テテと言えば、昨年11月に初回11秒での世界戦史上最短KO記録が話題となった。しかし、今年4月に行われた2度目の防衛戦ではオマール ナルバエス(アルゼンチン)を相手に、アクションの欠ける凡庸な試合展開で判定勝利し評価を下げてしまった。
　対するアロイヤンはわずか4戦のキャリアで初の世界挑戦となる。アマチュアで12年ロンドン五輪で銅メダル、世界選手権でも2度金メダルを獲得。しかし、16年リオ五輪でも獲得した銀メダルはドーピング検査で陽性反応が出たため剥奪。翌年17年にプロに活躍の場を移し、今回の一戦は地国ロシアで、汚名返上となる負けられない戦いとなった。日本のボクシングファンにとっても注目の試合だ。