公務員ボクサーが引退を懸けたリングへ

　来月、37歳の引退年齢を迎える新座市役所職員ボクサー新座宏(36=フラッシュ赤羽)が2日、後楽園ホールで開催された「オーバーヒート・ボクサーズナイト」で日本バンタム級14位の金井隆明(32=ロマンサジャパン)とスーパーバンタム級8回戦で対戦した。新座は勝てば日本ランキング入りが濃厚となり、現役を続けることができるが負ければ引退が決定。はたしてラストチャンスをものにすることができたのか――。

　100人の応援団の声援を背に受けた新座は、ポジショニングの上手い金井をなかなか正面で捉えられなかったが、2ラウンドに金井が接近戦に応じるとワンツー、ボディでプッシュし、攻守の切り替えで上回る金井と互角に打ち合った。しかし、4ラウンドを迎えると有効打で差がつき、新座が苦境に立たされる。流れが金井に傾き、5ラウンドにも連打を浴びた新座だが、ボディから上への返しで必死に食らいつくと、6ラウンドは下からアッパー、フックをまとめ金井をコーナーに釘付けにした。防戦一方となった金井に新座はなおも追撃の手を緩めず凄まじいラッシュ。ついにレフェリーストップを呼び込み、見事TKO勝ちでランカーを撃破した。

　激戦を制した新座は「4回にパンチをまとめられ、次のラウンドから攻めていこうと思った。相手が嫌がることをやろうと思っていた。この歳なのでスタミナを考えながら戦ったが、最後までよく手が出たと思う。引退を免れてよかった」と笑みを浮かべて試合を振り返った。
　これでランキング入りが確実になったが、新座は「タイトルに挑戦もしたいが、一歩ずつランキングを上げていきたい。今日は市長をはじめ、多くの職員が応援に来てくれた。どこまで行けるかは分からないが、新座市をPRして市に貢献していきたい」と抱負を口にした。土壇場で現役続行の道が拓けた新座が、これからどこまで突き進むのか注目したい。