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[試合後会見]2017.6.14

比嘉も観に来た!波乱の日本フライ級王座統一戦

  耳の負傷により休養していた正規王者の粉川拓也(32=宮田)と、その間に暫定王座に就いた黒田雅之(30=川崎新田)との日本フライ級王座統一戦が13日、後楽園ホールで行われた。昨年3月に粉川のV2戦に挑み判定負けを喫している黒田は、雪辱を晴らすべく開始から猛アタック。低い姿勢から左を繰り出すと、開始30秒過ぎに左フックでダウンを奪った。
初回にダウンを奪った黒田が接戦を制した
  暖機する間もなく倒されてしまった粉川だが、再開後は足を使いながら細かい連打で応戦。リズムを掴むと得意の速いテンポでの攻撃でポイントを挽回した。さらに間合いを外しての右ストレートも単発ながら決まり、5回終了時の採点を48-46、47-47、47-47と1-0のリードで折り返した。
  相手に流れを傾かせてしまった黒田は、後半に入ると多少の被弾は構わずペースアップ。左ボディから上に左右を返し、粉川の機動力に対抗した。終盤は頭をつけての激しい攻防が続き、粉川が右アッパーで黒田の膝を折れば、黒田も左フックを振り回すなど互いに譲らぬままゴング。後半は採点の振り分けが難しいラウンドが続き判定は割れたが、ジャッジ2者は暫定王者を支持。黒田がリベンジに成功すると同時に、日本フライ級王座を統一した。
世界ランクも失い痛い敗戦の粉川
 5度目の防衛に失敗した粉川は、肩を落とし控室に戻ると「接近戦でパンチを当てていたし、ギアも上げたつもりだったがポイントが向こうに流れてしまった。ボディは一発だけ効いたが見栄えが悪かったのかな。勝利を期待していた人に申し訳ない」と静かな口調で試合を振り返った。今後に関しては「年齢のことを言われるが、まだなんとも言えない。今はゆっくりしたい」と明言を避けた。
会場に訪れていた比嘉
 この試合をリングサイドで観戦したWBC世界フライ級王者の比嘉大吾(白井・具志堅)は、「粉川さんは初回のダウンがもったいなかった。黒田さんはパンチがすごかった。途中から難しい採点になりましたね」とコメント。その比嘉に勝って挑戦状を出したかったと話した統一王者の黒田だが、「今日の内容で大きなことは言えない」と自粛した。
泥臭くもしぶとく戦えたと安堵
 粉川よりダメージが大きかった黒田は、応急処置後に控室へ戻りホッと安堵の表情を浮かべた。「正直、採点を聞くまでは勝てたかどうか分からなかった。欲を言えば1ラウンドで決めたかったが、接戦も想定していた。ペースを握られたが、そこからしぶとく戦えたのは僕に修正する力が付いたからかな。今まではあそこから覆すのが難しかった」と自身を労い、「勝てたことよりも、まだボクシングを続けられることにホッとしている」と喜びを噛みしめた。
世界戦のチャンスも遠くはない
  王座統一と同時に粉川の持つWBA4位、WBC5位、WBO7位、IBF5位と4団体のランキングを総取りした黒田は、13年2月以来の世界挑戦も視野に入った。本人と新田渉世会長は「こんな内容では」と口を揃えたが、世界フライ級はWBAを5度防衛中の井岡一翔(井岡)を除き、WBCの比嘉、WBOのゾウ・シミン(中国)、IBFのドニー・ニエテス(比)はいづれも王座に就いたばかり。まだまだ混迷極まる戦線だけに、黒田にも大いにチャンスはありそうだ。

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