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[試合後会見]2017.3.22

注目の日本タイトル戦は同級生対決

 日本スーパーフライ級タイトルマッチが22日、後楽園ホールで開催された「第80回オーバーヒート・ボクサーズナイト」のメインイベントで行われた。王者の中川健太(31=ワタナベ)と同級1位の船井龍一(31=ワタナベ)による高校の同級生対決として注目されたチャンピオンカーニバル屈指の好カード。
最後はKOで決着をつけた
 初回、お互いフェイントをかけながら緊迫感のある攻防を見せるなか、偶然のバッティングで中川は左眉間をカット。2回、船井の左フックで中川はガクッと腰を落とした。その後は激しいペース争いとなったが、船井の右ストレートが決まりポイントを稼いだ。前半終了時の公開採点は2者が49-46で船井、1者が48-47で中川と割れた。6回、船井はボディから連打で猛攻。7回、守勢を強いられた中川は距離を詰めたが、船井はワンツーでダメージを与えると最後は右ストレートを決めて痛烈なダウンを奪った。なんとか立ち上がろうとした中川だが、セコンドからタオルが投げ込まれた。
左フックがポイントだった
 3度目の正直で王者に輝いた船井は「今回が最後のチャンスだと思っていた。肩にベルトがあるのでホッとしている」と声を弾ませた。友人である中川との対戦に「勝負に非情になった方が勝つと思っていたので、リングの上ではぶっ倒す気持ちで臨んだ。経験値では自分の方が上なので負けるわけにはいかなかった。ただ、今思い返すと一発一発が心苦しかった。再戦はしたくないですね」と複雑な心境を見せた。試合後はリング上で言葉を交わしたという船井は「お互いにありがとうと言った。言葉には出せない感情が溢れ出ました」と話した。
自分が弱かった
 一方、初防衛に失敗した中川は「5ラウンドの採点が出て焦ってしまった。手数が少なくてダメでしたね。最後のパンチが効いてしまった」と肩を落とした。今後について「どうするかわからない。勢いでは言いたくない」と明言を避けた。
 控え室での取材を終えると互いに健闘を称えた。現役を続けていた船井に感化された中川は2011年9月27日、6年間遠ざかっていたリングにカムバックすると、途中1試合だけ引き分けを挟んだが、無敗で昨年10月に王座決定戦を迎え、見事初戴冠を果たした。この日は、チャンピオンとして初の防衛戦臨んだ。「お前のおかげで、ちゃっかりチャンピオンになっちゃったよ。ありがとうな」。船井の背中を追いかけ、切磋琢磨してきたことで、結果的には、中川自身が先に日本の頂点まで上り詰めることができたことに感謝した。親友の船井に王座を明け渡すこととなったが、控え室で抱き合う二人の目からは熱いものがこぼれ落ちた。
田之岡条(小熊)
 この試合を観戦した日本同級6位の田之岡条(23=小熊)は「船井選手がよく研究していた。リターンが速く、軸がブレないので崩しづらい。強いチャンピオンが誕生した。今日の試合で安定政権を築くぐらいの強さを見せたが、いちランカーとして男子たるもの燃えないわけがない」と興奮冷めやらぬ口調で試合の感想を語った。
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