内山、母校に恩返し

　「日本が誇るKOダイナマイト」世界王者の内山高志(ワタナベ)が14日、母校の花咲徳栄高等学校(埼玉県加須市)に恩返しの講演会を行った。約1900人の在校生を擁するマンモス校とあって、全校生徒を対象には出来ず、今回は一年生のみの会となった。
　ボクシング部のOBとして、後輩の壮行会や入学式の挨拶は経験している内山。講演会は今回が初の経験だったが、体育館に集まった約700人の後輩達を前にしても試合同様に落ち着きをはらい、熱のこもったスピーチを披露していた。

　在校生から「世界で活躍する、私たちが誇りにする先輩」と言葉をもらった内山は、「目標を持つことが大事。友達を大切にして、勉強やスポーツなど悔いのない高校生活を送ってください」と後輩達にエールを贈った。

　在校生とのトーク会は、あまりの人気で希望者が予定を超え、内山を囲んでの会となった。ベルトを初めて巻いた時の感想やフィジカルやメンタルの鍛え方などを聞かれ、ひとつひとつ丁寧に答えていたが、中には「どうやったら減量できるのか?」と女生徒から切実な問題を投げかけられ戸惑う場面もあった。それでも内山は「ボクサーは急激な減量をするが、それは危険。ダイエットは無理せず、健康的なのが一番!」と優しく答えていた。「願かけはするのか?」との問いに、試合前にうなぎを食べることと毎朝のロードワークで神社にお参りをすると洩らしていた。

　最後に生徒の花道で見送られた内山は「何万人という卒業生の中で、こうして母校に戻りみんなの前で話ができることが嬉しい。自分のやってきたことに胸を張れる。何よりも先輩に世界王者の内山さんがいると言ってもらえるのが嬉しい」と笑顔を見せた。

　ボクシング部はもちろん、学び舎の中にも内山の新聞記事や勇姿を飾り、学校ぐるみで応援している花咲徳栄。山本副校長は「彼の人間性の素晴らしさが人の心をとらえている」と評する。

　ボクシング部のモットー"恐れず、驕らず、侮らず"の教えを今も守る内山の姿に、後輩達も刺激を受けたに違いない。