ブラウンのH級王座剥奪

　WBAは12日、同団体の世界ヘビー級王者ルーカス・ブラウン(37=豪)の王座を剥奪したと発表した。3月5日、ブラウンはルスラン・チャガエフ(37=ウズベキスタン/独)を10回TKOで破って戴冠を果たしたが、試合後、ドーピング検査でAサンプルから禁止薬物のクレンブテロールが検出され、Bサンプルも同様の結果だったことから王座剥奪の措置になったという。

　チャガエフ対ブラウンの試合は3月5日、ロシアのチェチェン共和国グロズヌイで行われ、6回に喫したダウンを挽回してブラウンが劇的な10回TKO勝ちを収めた。オーストラリア初の世界ヘビー級王者となったブラウンは胸を張って帰国したが、前後して進められていた尿検査では陽性反応が出た。ブラウンは潔白を訴えたが、このほどBサンプルからも同じ成分が検出されたため、WBAは選手権委員会に諮って王座剥奪の措置をとった。ブラウンが意図して禁止成分入りのものを摂取したか否かは不明だが、仮に意図せずに何かしらの手段で摂取してしまったのだとしても、それはチームの責任と断じている。これを受け試合結果も遡って無効試合に変更されるものと思われ、ブラウンには6ヵ月の出場停止が言い渡された。
　これにともないWBA王座は前王者に差し戻されることになりそうだが、そのチャガエフは試合後に引退を表明しており、どう転ぶのか不明の部分が残る。再起する場合、チャガエフは120日以内に指名挑戦者フレス・オケンド(プエルトリコ)との対戦義務を負うことになるが、復帰しない場合はオケンドが王座決定戦に出場することになりそうだ。