河野、夢へ届かず

　20日、ダブル世界戦の先陣を切り、さいたまスーパーアリーナで1位・河野公平(ワタナベ)と2位トマス・ロハス(メキシコ)がWBC世界スーパーフライ級王座決定戦を争った。是が非でも王座をその腰に巻きたい両者だけに、序盤から激しい主導権争いが予想されたが、距離を詰めるべく強引にプレスを掛ける河野に対し、サウスポーのロハスは右ジャブ・右アッパーと距離を詰めさせずに終始ミドルレンジで距離を保ち、左ボディアッパー・右フックでポイントを奪っていく。
　最終12R、河野の連打でダウンを喫するも、ロハスは最後まで冷静に距離を保ち、左ボディアッパー・右フック・右アッパーでポイントをも守り抜き、判定0-3で河野を下し新王者に輝いた。

　2年振り2度目の世界挑戦。もう一歩のところで夢に手が届かなかった河野が会見を開いた。河野は「世界チャンピオンになるために戦ってきたが、負けてしまった。今の気持ちは何も言いたくありません」と心境を語った。

　最終12Rのダウンについては「ダウンを取って惜しかったっていう気持ちもあります。最後の最後は思いっきり狙って行くしかなかった。だけどロハスは上手かった。日本人なら一気に行けたが。パンチが大きくなってしまった」と、最後の詰めを悔やんだ。また、ロハスの印象に「万能型の選手でほとんどパンチを貰うことなくここまで来た選手。常にカウンターをもらわないポジションに移動していた。一発が凄い訳でもないが、ポジション取りが上手かった。本当、今までにない位、上手い選手でした」と完敗を認めた。
　今後については「今は終わったばかりだから言いたくはない。皆の応援があったから頑張って来れた。先のことは自分だけの問題じゃない。プロになって10年目。応援してくれた仲間に感謝します」とし、明言を避けた。
　河野にとって、今回の敗戦は余りにも大きな一敗となった。果たして、タフボーイは再び立ち上がるのか…。

　12Rに不覚のダウンを喫するも、終始距離を保ち左ボディアッパーを的確にヒットさせて新王者に君臨したトマス・ロハスが控室で喜びの会見を行った。ロハスは「とても気持ち良い。結果には満足している。王者に返り咲けて嬉しい」と笑顔を見せた。また、ダウンについてロハスは「ビックリした!右のフックだと思う。顎に当たったが耐えられると思った。良いコンビネーションが入ってしまった。最後は神様のお陰で立っていられた」と語り、最後に「河野は打たれ強く勇敢なボクサーだった」と河野を称えた。

　最後に今後の防衛戦に関して「もう一度ダルチニアンと戦いたい」と話し、昨年12月の統一戦のリベンジを果たしたいとして会見を終えた。