内山の休日

　昨年12月31日にオリバー・フローレス(ニカラグア)に3ラウンドTKO勝ちし11度目のタイトル防衛に成功した内山高志(36=ワタナベ)は試合後も多忙を極めている。この日は日々応援してくれている方々への挨拶回りのため、築地を訪れた内山に密着した。

　朝10時に待ち合わせした内山は、セーターにジーンズ、ダウンジャケットという比較的ラフな出で立ちで現れたのだが、周りに漂う空気感は明らかに世界王者の風格そのもの。築地の人ごみの中でもひと際目立ち、振り返る人も多くいた。
　まずは、普段からお世話になっているというお店を挨拶回り。憧れの世界王者が来たので行く先々で写真撮影、サイン攻めにあったが一人一人丁寧に応じる姿は流石の一言。「よほど急いでいる時でない限り、サインや写真はしますよ。喜んでくれると僕もうれしいですから」と笑顔で語った。

　この後は防衛成功と年間最優秀賞受賞の祝勝会を開かれ、フグの刺身、すっぽん鍋など次から次に出てくる豪華な料理に舌鼓を打った内山。これだけ食べるとウェイトが気になるところだが、先日の練習開始日に3.8kgしか体重が増えていないというようにいつでも試合ができるよう調整しているとのこと。「食べた分だけ動いていますから必要以上に大きくなることはないですね。減量が苦しい選手は無理しないで階級を上げるべきですね」と最近のウェイトオーバーの問題にも提言していた。

　31日は、試合後のスケジュールについて聞いてみたところ「応援してくれた方々に挨拶回りを10ヶ所ほど行って家に来たのは夜中の3時頃だったという。元旦は朝の8時にトレーナー陣と集合してファミレスでコーヒーを飲みながら翌朝のスポーツ新聞を読みながら前日の反省会をしてから初詣に行っています。大晦日〜元旦は、このサイクルをもう6年続けていますね」。

　普段、知ることのない内山の部屋についても聞いてみた。「ほとんど物はないですよ。割と綺麗にしていると思いますが部屋も狭いし、バイクマシンと腹筋用具を置いたらあまりスペースはないですね」。「グローブは新品のを常に3つは保管しているのですが、ついつい人にあげたくなってしまうんですよね」と笑顔で語っていた。2月も行事が重なって休みが2日間しかないという内山だが、充実した日々を満喫しているようだ。
　 　この日は夜からまた予定があるそうだが、その前にジムワークでしっかりと汗を流してから行くという内山の後ろ姿は、早くも戦闘態勢に入っているようだった。