経験vs若さの行方は…

　27日、エディオンアリーナ大阪で開催されたダブル世界戦。その先陣を切ったIBF世界ミニマム級タイトルマッチ、王者・高山勝成(32=仲里)対同級10位・原隆二(25=大橋)は、挑戦者が積極的に仕掛け、序盤から白熱した展開で幕を切った。

　開始から主導権を取りに出た原だが、日本人初の4団体制覇王者の高山に抜群のフットワークで捌かれると、次第に手数でも差がつき、中盤以降はロープを背負わされる場面が目立った。原は気持ちを切らさずに前に出たが、8ラウンドの王者の猛攻を防ぎきれず、最後は打ち返せなくなったところでレフェリーが割って入った。

　念願の世界初挑戦も磐石王者の牙城は崩せず、涙をのんだ原。試合後は憔悴した顔で「悔しい。高山選手はさすがに強かったです。前半は作戦通りに行けましたが、高山選手のスタミナはすごかった。完敗です」とコメントし、肩を落とした。

　一方、IBF王座2度目の防衛に成功した高山は、プラン通りと滑らかに口を開き、「最初から攻撃的にプレスをかけてやれたのが良かった。過去のキャリアと技術がものを言ったと思いますね」と満足げに試合を振り返った。

　試合直後のリング上では、リングサイドで観戦していたWBO王者の田中恒成(20=畑中)が呼ばれ、この場で年末の対戦を約束。「楽しみにしている」と笑顔で答えた高山に対し、田中も「単純に強いチャンピオンと戦えることが嬉しい」と対決を心待ちにした。

　若き挑戦者を持ち前のスタミナと手数、そして32歳にしてなおも成長を感じさせたテクニックとスピードで退けた高山。日本人最速となる5戦目で世界王座を獲得した"中京の怪物"田中との日本人同士による頂上戦も決まり、いよいよミニマム級から目が離せなくなってきた。