氏家、涙の引退式

　元日本ミドル級1位、氏家福太郎(33=新日本木村)の引退式が、4日に開催された同門で日本バンタム級王者、益田健太郎(31)の初防衛戦前のリングで行われた。00年8月にデビューした氏家は、これまで日本王座に3度、東洋太平洋王座に1度と4度のタイトル戦を経験したが、ベルトに恵まれることはなかった。それでも10年近くも日本ランキングを守り、重量級の顔の一人として存在感を発揮していた。昨年4月、現日本同級4位の西田光(川崎新田)に3回TKOで敗れた試合が最後となった。

　引退式では、同門の佐藤矩彰(29)と2分1ラウンドのスパーリングを行い、最後の雄姿をファンに披露。戦い終えた氏家は、愛息子から花束を渡されると大粒の涙を流した。

　マイクを握り「悔いはありません!」と胸を張った氏家は、「これまでの試合はすべて記憶しているが、唯一最後の西田選手との試合だけは記憶がなかった」と語り、結果的にこれが引退の理由となった。すでに第2の人生も進めており、現在は選手時代の練習や減量、栄養学を生かし、「ダイエットアドバイザー・パーソナルトレーナー」の肩書きで起業。一般、プロを問わず、出張で個人レッスンを行っているそうだ。気になる方は、氏家氏のダイヤモンドブログ「日々平穏」を覗いてほしい。

　最後に声を詰まらせながら「14年間、ボクシングを通して人として成長できました。本当にありがとうございました」と挨拶し、万来の拍手で送られリングに別れを告げた。生涯戦績は30戦17勝(11KO)12敗(6KO)1分。