西田凌佑のニックネームはブラックホール!

　IBF(国際ボクシング連盟)バンタム級王者の西田凌佑(28=六島)が29日、大阪市内の所属ジムで報道陣の取材に応じ、世界2団体王座統一戦で対決するWBC同級王者の中谷潤人(27=M.T)のニックネーム「ビッグバン」に対抗して、「ブラックホール」を愛称とすることを発表した。

　6月8日(日)に有明コロシアムで開催される「Prime Video Boxing 13」の観戦チケットの一般発売は、5月1日(火)18時に開始する。

　六島ジムの枝川孝会長によると、同門でIBFインターナショナル・スーパーフライ級王者の韓亮昊(はん・りゃんほ/27)が案を出したようで、「ブラックホールは宇宙の謎で、光を通さない。ビッグバンの後に誕生した謎のブラックホールが中谷選手のパンチを通さず、西田の世界に吸い込んでいくイメージ」と、ニックネームの由来を説明した。

対照的なタイプの2人が激突

　コンビを組む武市晃輔チーフトレーナーは、「矛と盾の戦い」とキッパリと言った。「向こうはKO率80%なのに対し、こっちは20%。西田はディフェンスに特化してベルトを獲った。中谷選手は攻撃力が目立つ対照的な2人。ビッグバンを吸い込めるか、もっとすごいのか。世界戦でこれだけ対照的な2人が戦うのは珍しい。そこを注目して見てもらえたら」と見どころを語った。

　会見に臨んだ西田は、「指名戦になるか王座統一戦になるのか、わからない状況の中、(王座統一戦に)決まって中谷選手との戦いに集中できる。2月にリングに上がって(対戦を)約束した時からやるつもりで、武市トレーナーと対策している。勝つ自信はある」と中谷攻略に自信を見せた。

　改めて、中谷の印象を聞かれた西田は、「どの距離でも戦えて、気持ちもパンチも強い」と話すと、「すべてのパンチを強く打ってくるので、もらわないように戦う」と意気込んだ。

　「中谷選手のような170�pのサウスポーの世界ランカーが、なかなかいない」(枝川孝会長)と、スパーリングパートナーを探すのに苦労したようだが、明日からWBA(世界ボクシング協会)フェザー級4位のイライジャ・ピアス(28=米)、さらに5月3日(土)からWBO(世界ボクシング機構)スーパーバンタム級3位のデニス・マッカン(25=英)が来日し、中谷対策に講じる。

　ピアスとは、枝川会長が本人のインスタグラムにダイレクトメッセージを送って、コンタクトを取ったという。

　世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(32=大橋)が、3月31日(月)に東京ドームホテルで行われた2024年度年間表彰式で、中谷との将来的な対戦を約束。それに関して西田は、「気にならない。自分は中谷選手に勝つことだけを考えている。先のことは考えられない」と、ボクシング人生最大の大一番に全力を注ぐ。

　これまで何度も下馬評を覆し、世界チャンピオンまで上り詰めて、王座統一戦を迎える。これまでの実績から中谷が有利とされているが、武市トレーナーは「下馬評は皆が決めること。たとえ8-2でもこの2割に入ればいいだけ。9-1でも1割に入れば勝てる。何も気にしたことがない。中谷選手が圧倒的に有利と言ってもらえた方が、やりがいに繋がる。そういう意味でうれしい。同じチャンピオンだが、こっちはBサイド。常にチャレンジャー」と言葉に力を込めた

　西田は「これまでで一番強い相手。自分には失うものはない。しっかりとやってきたことを出して勝つ」と気持ちを高めた。

　自身が保持するベルトを懸けて戦う一戦だが、あえて「失うものがない」とまで言い切り、この試合に懸ける思いの強さを感じさせた。