WBC(世界ボクシング評議会)バンタム級王者の中谷潤人(27=M.T)とIBF(国際ボクシング連盟)同級王者の西田凌佑(28=六島)が18日、東京ドームホテルで会見を開き、6月8日(日)に有明コロシアムで開催されるPrime Video Boxing 13で、2団体王座統一戦を行うことを発表した。
この日は、WBO-APバンタム級王座を返上した那須川天心(26=帝拳)の世界前哨戦も行われる。
対する西田は、前日に中谷との対戦が正式に決定したことを知り、「指名戦になるか王座統一戦になるか、どちらかの状況の中、自分としてはタイトルを返上しても中谷選手と戦いたかったので、王座統一戦で、できてうれしい」と、パウンド・フォー・パウンドランキングに入っている中谷との対決に胸を躍らせ、「相手はどの距離でも戦える。一番の武器はパンチ力。武市トレーナー(武市晃輔チーフトレーナー)が考えた作戦を遂行する」と力強く決意を示した。
「本人の意思を尊重した」枝川孝会長
昨年12月の初防衛戦後には、中谷について「まだ早い」と話していた六島ジムの枝川孝会長だが、西田の気持ちを尊重した。「初防衛戦後から、本人が中谷チャンピオンとやりたいと言ってきた。なかなか自分からこうやりたいと意思表示をする人間ではないが、それでもやりたいというのは、かなり本気なんだろうなと。トレーナーに相談したところ、『モチベーションがない指名戦をやっても、負ける可能性がありますよ』と言う。うちのジムは、お金儲けのためにやっているわけではない。選手に夢を与えて選手がやりたいことをやらせる方針。めちゃくちゃ強いチャンピオンに挑戦するわけですから、勝つか負けるかは正直わからない。本人がやりたいというのであれば、交渉に向けて動くのが私の仕事」と熱く語った。
それを横で聞いた西田は「自分の気持ちを汲んでくださって良かった」と、感謝の気持ちを言葉にした。
3月31日(月)に行われた2024年度年間表彰式で、世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(32=大橋)から「来年、東京ドームで」と、対戦を呼びかけられた中谷。大いに話題を呼んだが、今は井上との一戦は封印して、目の前の試合に全力を注ぐ。「久しぶりの日本人対決なので、気持ちをぶつけていきたい。強い相手なので全力で挑み倒しにいく」と語った。
井上尚弥のラスベガスの試合を観戦予定
米国ロサンゼルスでのスパーリング合宿のため、4月20日(日)に日本を発つ。日本時間5月5日(月・祝)には、米国ラスベガスで井上の防衛戦が行われるが「タイミングが合えば、見に行きたい」と、観戦を予定していることを明かした。
西田は「(中谷選手の)踏み台になるつもりもないし、負けるつもりもない」と言葉に力を込めた。すでに日本スーパーバンタム級5位の池側純(27=角海老宝石)やフィリピン人選手と、100ラウンドのスパーリングを消化。今後はフェザー級の世界ランカーを招聘し、実践練習を重ねていく。
「踏み台にはならない」
プロ3戦目で元日本王者の大森将平(ウォズ→引退)、4戦目で比嘉大吾(29=志成)を撃破、そして、難攻不落のエマヌエル・ロドリゲス(32=プエルトリコ)を攻略して世界王者に上り詰めた西田は、これまで何度も不利予想を覆しており、「周りの声は気にならない。これが最後のつもりで戦う。ベルトも勝ってついてくるもの。意識せずに戦う」と中谷との一戦に全力を注ぐ。