WBA(世界ボクシング協会)バンタム級王者の堤聖也(29=角海老宝石)が、ついに世界的レジェンドと向き合う。12月17日(水)、両国国技館で開催される「U-NEXT BOXING.4」のメインイベントで、WBA同級暫定王者にして世界5階級制覇のノニト・ドネア(43=比)との団体内統一戦に挑む。
死闘となった比嘉大吾戦の後、目の怪我で戦列を離れながらも、王者として戻ってきた堤。その復帰戦の相手は、数多くの世界王者を沈めてきた伝説の左フックを武器とするドネアだ。恐怖を受け止めた上で「倒されても立つ」と語る堤の心は、静かに、しかし確実に戦闘態勢へと向かっている。
■2年前にドネアと写真を撮ったそうですが。
堤 そうです。池側(池側純=角海老宝石)の試合で、フィリピンに帯同した時に一緒に撮りました。当時、僕はWBC10位でした。俺の中でドネアは、チャンピオンだと思っていましたが、時期的に違うんですよね。2023年の5月ってドネアは、チャンピオンでしたか?
■その時は、チャンピオンじゃないですね。
堤 ですよね。挨拶して写真を撮りました。僕が世界ランカーだと聞いても、「あっ、そうなんだ。よろしくね!」みたいな。まったく眼中にありませんみたいな感じでした。
■アントニオ・バルガスとの一戦の予定が、ドネアとの試合が決まりました。
堤 ここでやるとは思いませんでした。バルガスの後にドネアだったら、"めんどくさいな"とは思っていました。
■"めんどくさい"とは?
堤 足踏みをしているような感じなんですよね。ここを勝ってバルガスとやることになったら結局、足踏みなんですが。次に進めていないじゃないですか。
■記者会見で「警戒しすぎるとポイントを持っていかれる」と、話していたのが印象的でした。
堤 結局、皆、前に行けなくなっちゃうと思うんですよね。それでポイントをズルズルと取られて。ドネアも疲れずに省エネして。自分の持ち味を出さないといけないんですが、そうすると左フックがどんどん来るので。しかし、リスクを取らないと勝ちにいけない相手だなと思います。
■警戒していてももらう左フックですね。
堤 なんでもらうんですかね?やってみないとわからないですね。そうはいっても、右ストレートもかなり上手い。あと、ボディの打ち分けがしつこいですねぇ。ちゃんと打ち分けてくるし、しかもパンチの軌道が一緒なので。左に関してはわかりにくいなと思います。
■ドネア選手は、ここ一番では、しっかりと仕上げてきますからね。だからこそ、あの年齢(43才)でも活躍できるのでしょう。
堤 仕上げるところは絶対に仕上げてきますからね。年齢を取っているのではなく、重ねている。
重ねることが大事
■「年齢を取る」と「重ねる」の違いは?
堤 人生において、ここすごく大事にしていて。歳を取るのはその言葉の通り、取っていく。失っていくイメージ。そうじゃなくて、人生において大事なのは年齢を重ねていくこと。重厚に重ねて分厚いものができていく。僕は練習においても積み上げるじゃなくて、積み重ねるという表現を使うのですが。