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[電話取材]2021.9.30

加藤健太氏「最善は尽くしたが…」

 WBC(世界ボクシング評議会)ライトフライ級タイトルマッチ、寺地拳四朗(29=BMB)対矢吹正道(29=緑)。

 8度の防衛で圧倒的な強さを見せていたライトフライ級絶対王者の拳四朗が、世界戦で初めて地元京都のリングに上がったが、"下克上"を狙う矢吹の前に10回TKO負けでプロ初黒星を喫し4年4ヶ月守り抜いた王座から陥落した。

 拳四朗が世界王者に就いた頃からコンビを組んでいる三迫ジムの加藤健太トレーナーはこの試合をどのように感じたのか?SNSでファンの間で言われている4ラウンド終了時の公開採点についてズバリ直撃した。
「リードしていると思ったが…」
 「試合が終わってから採点のことについて、どうこう言うのは野暮なのはわかっているが」と前置きした上で、加藤氏は「難しい試合でした。4ラウンドの公開採点がすべて。悪くてドロー、良くて2ポイント差くらいで拳四朗かなと思ったので、2者がフルマークで向こうについていて驚いた。全体的に拳四朗が試合をコントロールしていたと思ったので、腑に落ちない部分はある」とジャッジへの疑問符をつけた。

ジャッジの採点の明確性を知りたい

 さらに「この距離でのボクシングでは評価されないので、ジャブは変えずにプレスを強めて半歩近い距離で戦う作戦に変えた。8ラウンドが終わって残り全部ポイントを取っても追いつけないので、倒しに行くしかなくなった」。「これまで何度も世界戦を戦ってきて、この戦い方で勝ってきた。選手一人の人生を変えるものなので、ジャッジの採点の明確性を知りたい」と訴えた。
(上)久田哲也戦、(下)矢吹戦の採点表
 しかし、「前戦(久田哲也)も4ラウンドを終えた時点で、ダウンを奪ってもわずか1ポイント差だった。正しいか正しくないかはいろいろとあると思うが、これまでの世界戦の採点と日本人ジャッジの採点の仕方についてもっと考えるべきだった」とも付け加えた。

久田戦と今回のジャッジ構成は同じ

 コロナ禍の影響から、海外からの試合役員の招聘には制限があるため、今年4月の久田戦と今回の矢吹戦のジャッジ3名の構成は同じだった。加藤氏は「ただ、選手がジャッジの採点のやり方に対し、戦い方を変えるべき問題なのかとも思う」と苦悩していた。

 今年7月に大阪で久田氏にインタビューした際、「矢吹選手とスパーリングをしたことがあるが、(拳四朗、京口、矢吹)の中では一番思い切りの良いパンチを打つ。拳四朗対策は僕より先にやっていたしリーチがあるのでもう少し深くパンチを当てることができる」と話していて、試合後の電話取材でも「思い切りの良いロングのパンチを打っていたのが良かった」と感想を語っている。矢吹のチャレンジャーらしく、倒しに行く積極的な姿勢がジャッジの支持を集めたのではないか。

矢吹陣営は予定通りだった

 矢吹のチーフセコンドを務めた加藤博昭トレーナーは「ジャブの差し合いでダメージを与えたのは矢吹の方。向こうが3発ジャブを打ったらこっちは強いジャブを入れた。4ラウンド終了時の公開採点でポイントが取れて『よっしゃ!これはイケるぞ!』これで正解だった」と心境を明かしている。
「拳四朗は練習通りに動いた」
 加藤氏は「拳四朗は練習通りに動いた。ポイントを失ったので半歩距離を潰した。それでもポイントを引き寄せることができなかったから最後は倒しに行く。その場の判断も間違っていなかった。最善を尽くしてやってくれた」。

 9ラウンドに負った左目上の負傷。セコンドの加藤氏が1分のインターバルで止血した腕前はプロ中のプロがなせる技だ。傷がピタッと止まった拳四朗は逆転勝利を信じて徹底してボディを叩いた。そして、矢吹もパンチを返しあのボクシング史に残る10ラウンドが生まれたのだ。
「矢吹選手は勝負感がすごかった」
 「矢吹選手の動きは想定内だった。序盤はもっとパンチを当てにくいかと思っていた。研究してきているなと思ったが、こっちは『それではポイントを取れないよ』という動きを作ってきたつもりだった。ただ、よく考えて戦ってきたし最後の連打もレフェリーが止めやすいパンチのまとめ方だった。あれで倒せなかったらガス欠だったと思うので勝負をかけてきた。その勝負感がすごかった」と矢吹の強さを説明した。
拳四朗の今後は!?
 「力が落ちてとか反応が鈍くなって負けたわけではない。あとは本人がどう思うか」と加藤氏の声の感じからは、まだ拳四朗とのコンビで強さを追求していきたい、という思いが強く感じられた。

 9月22日(水)は、同じ時間帯で後楽園ホールでも興行が行われていた。京都の世界戦の結果を知った後楽園にいた関係者は「矢吹が勝ったんだ」ではなく、「拳四朗が負けたんだ」と口々に言ってざわついたという。それだけ拳四朗は負けることが想像できない偉大なチャンピオンだったことがわかるエピソードだ。

 試合後、WBCは公式Twitterで「ケンシロウ、あなたは日本と世界のボクシングの偉大な代表者であり、これからもそうなるでしょう。素晴らしいチャンピオンになっていただきありがとうございます。またすぐにリングに戻ってくることを願っています」と復帰を願った。
孤高の王者にとってプロ初の挫折。世界タイトル8度の防衛は日本のジムに所属する世界王者歴代6位の記録だ。

 1952年5月19日に故・白井義男が日本人初の世界王者に就いてから69年間、日本のジムに所属する男子世界王者は92人(暫定王者含む)いるが無敗のまま引退したチャンピオンは一人もいない。

 試合後、「勝っても負けても引退しようと思って戦った。世界一強い拳四朗選手に勝った。これからのことは考えていない」と現役続行を悩んでいた矢吹だが1週間後に「今日から少しずつ動いていきます」と自身のSNSでジムワークを再開したことを明かした。今後の拳四朗の動向が気になる。

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