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大勢の報道陣に迎えられる中、凱旋帰国を果たした岩佐は「嬉しかった。すごいステージで結果が出せたこと、崖っぷちで勝てたことが収穫となった」とアメリカニューヨークで成し遂げた王座返り咲きを手放しで喜んだ。「声援も何もかもがすごかった。こんなところで試合ができる岩佐が羨ましかった」と小林昭司会長が振り返った”ビッグアップル”での大一番だが、アウェイの洗礼も受けたという。
この試合を放映した現地の放送局の番組作りは「タパレス優勢」というもの。「サウスポーが苦手なんだろう」とレッテルを貼り付けられていたという。
試合開始の1時間前までバンテージを巻くことが許されず、ようやく日本から持ち込んだ普段通りのバンテージを1本巻き終えると、米国製の物でやり直すようにとニューヨーク州のローカルコミッションから急な指導を受けたという。計量も時間通りには行われず、日本ボクシングコミッションの管理レベルの高さを懐かしがった。それでも、KO勝利でリングを下りると「ウォー!ウォー!」の声援で地元ファンの喝采を受けた。
ニューヨーカーを虜にした岩佐は「相手はパンチがあるので警戒していく」という作戦通り、序盤から各ラウンド開始1分は様子を見た。「タパレスの左アッパーと右フックはコンパクトで見えにくく怖かった」と岩佐本人とセコンドについた小林会長の意見は一致していた。ただ、リングの中の岩佐は程よい緊張感を保ちつつ落ち着いていた。「無理に倒しにいったつもりはない。相手は疲れてきていたし、自分はスタミナに余裕があった。スピードにも慣れてきていた。どうなっても勝てるという感覚があった。試合中は負けてる感はなかった。勝っていると思っていた」。
試合の流れをつかんだと振り返った5ラウンドからは、徐々にプレッシャーを強めたようにも見えたが、「ジャブを当てに行き過ぎないように」というアドバイス通りに実行した岩佐の動きに関して「プレスをかけてカットインしていただけ」と小林会長が解説した通り、タパレスをコーナーからコーナへと詰めていったことが11ラウンドのダウンシーンにつながったという。「KOは狙ったわけではないし、運もあると思うが、見栄えは良かった」と手応えをつかんだ。
「今までできなかったことができた。一皮剥けた」と頼もしい言葉も口をついた岩佐は、1月下旬に予定されているIBF正規王者でWBAの王座に就いているダニエル・ローマン(29=米国)の試合を観戦に米国マイアミに向かうと話した。今後のことは白紙としながらも、ローマンとの王座統一戦を軸に準備を進めるとした。