試合日程 | 試合結果 | 動画ニュース | ランキング | 選手検索 |
力石政法(28=緑)が24日、トレーニング先のフィリピンから帰国した。WBOアジアパシフィック・スーパーフェザー級王者に君臨する力石は、6月10日(土)にエディオンアリーナ大阪で開催される「3150 FIGHT SURVIVAL Vol.6」のメインイベントで次戦を迎える。対戦相手の発表が待ち遠しいが、134lb (60.7kg) 契約10回戦と伝えられている。スーパーフェザー級のリミットは58.9kgだが、今後の動向に関連があるのか。
今回のフィリピン合宿は、力石のたっての希望で実現した。世界のトップ戦線に戦いの場を探る力石のために動いたのは、「3150 FIGHT」を主催する亀田興毅ファウンダー。ただ、5月10日から24日までの2週間で組まれたセブ島合宿は、「温室メロン」を育てる場ではなかった。
単身で向かったセブ空港では、待ち合わせていた現地の関係者とは、連絡の行き違いで結局会えず。力石の初めてのフィリピン合宿は「Bプラン」からのスタートとなった。拙い英語を頼りに空港でタクシーを拾った力石だが、現地のタクシー運転手にとっては、ネギを背負ったカモに過ぎなかった。目的地に着いただけラッキーだったのかもしれない。メンタルトレーニング最初のメニューは、いわゆる「ぼったくり」である。「今回はメンタルが成長しました」と笑い飛ばしたのを見て、ボクサーに一番必要な部分が鍛えられたのが伝わってきた。
今回の合宿の目的は、外国人選手とのスパーリングだった。「これからは、外国人選手との試合が増えるし、日本だといつも同じ相手としかスパーリングができないのでマンネリ化してしまう」と一念発起して、慣れない環境で心技体の強化に努めた。
セブ島では、谷口将隆(29=ワタナベ)から王座奪取に成功したWBOミニマム級世界王者メルビン・ジェルサエム(29=比)らが所属している「Zip Gym」を拠点にスパーリングを合計30ラウンド消化。2週間の滞在中には「Omega Gym」などにも出稽古に出向いた。「初日に8ラウンドやったらバテました」。期待を込めて、気合いを入れて海を渡ったのだろう。その後は、4ラウンドから8ラウンのスパーリングを中心に現地の選手たちと汗を流した。
セブ島滞在中、海にも行ったと言うが「片道3時間かかるので、そんなにはいけなかった」とボクシング漬けだった。「練習環境は良くなかったですね。ロードワークしたくても車の渋滞がすごくて走れなかったので、早朝に車が少ないうちに走ってました」と現地の生活を振り返った。滞在先も最初用意されたコンドミニアムは、爆音のような騒音が鳴り止まないため、ホテルに引っ越しした。きっと将来、海外でアウェイ戦を迎えた時に今回の経験が役立つことだろう。
現地の選手たちとも交流があったとのことだが、一流の選手たちの練習量に驚かされた。「週に4日ぐらいしか練習に来ないし、サンティシマ(※1)なんかスパーリングもしないんですよ。でも、強い選手はボクシングを楽しんでましたね」と貴重な体験を振り返った。
スパーリングで使われていた現地のリングは狭かったため、気づけたこともあった。接近戦は避けてきたというが、今回の合宿で「接近戦もいける。接近戦も戦えると思った」と接近戦に自信を深め、気づけば14日間で、「苦手」が「得意」に変わっていた。
※1は、5月31日(水)に後楽園ホールで、堤駿斗(志成)とOPBFフェザー級王座決定戦で対戦するジョー・サンティシマ(比)。
食事は楽しめたとのことで、「豚肉料理と甘いものを好きなだけ食べてました。どんなに食べても(体重リミットの)2kgオーバーぐらいなんで、たくさん食べてました」と常に高い意識を持って、世界挑戦のチャンスを待っている。
スーパーフェザー級を主戦場としてきた力石。ライト級も視野に入っているとの話も出たことはあったが、「今はライト級に上げるつもりはないです」とキッパリ。スーパーフェザー級で世界を目指す。
世界挑戦のための今の課題を尋ねると「課題はメンタルですね。実力は劣ってない。日本人らしい繊細な技術を活かしてやれば、普通に世界は獲れると思うので、ボクシングを楽しみながらやりたいですね。今、メンタル的にはラフですね」と自身の成長ぶりを実感した。改めて、今回のフィリピン合宿は楽しかったのかを聞いてみたが「いや、楽しくはなかったですね」と笑顔で答えてくれた。
いよいよ、明日、次戦の対戦相手の発表会見が行われる。なかなか手応えのある相手とのことなので、続報に期待したい。