■奥深いですね。
堤 積み上げるのは積み木。ポンってやったら崩れるんですよ。積み重ねるのは、薄い紙を重ねていくんですが、すぐには高くはならないけど、ブレない強靭なものができ上がる。そのイメージで普段の練習や生活を送っています。言葉として大事にしています。
■もう一度、話しをドネア戦に戻しますが。実際に拳を交えるということで楽しみですか?
堤 う〜ん。スパーリングだったら楽しみだったかもしれないですが、試合なんでね。楽しみ半分…、いや、楽しみちょっとと、怖いがほとんどみたいな感じかな。
■左フックを直撃したら、そこで終わってしまう可能性もあります。
堤 終わると思うんですけど。もらわないのが一番ですが、もらうと思っています。もらった後の心の勝負ですよね。
直撃も覚悟している
■被弾も覚悟しているのですね。
堤 36分間戦っていたら、絶対にもらいますって。一回くらいは直撃もあると思いますよ。倒されても立ち上がって倒し返したらいいので。そこの心を作っていくのが残りの1ヶ月。まだ、できあがっていないけどしっかりと作っていきますよ。
■モチベーションは、かなり高いですね。
堤 そうですね。ただ、「ドネア!ドネア!」とも、なっていないですけどね。割と「(試合前って)こんなに落ち着いていたっけ」と思っています。試合前という感じがしなくて。これからなのか、このまま試合までいくのか。フラットなんですよね。
■両国国技館では2回目の試合。今回は世界戦です。
堤 去年やっておいて良かったと思いました。
■以前、「試合前に会場の雰囲気を確かめておきたい」と話していましたよね。
堤 試合前にリングからの景色がイメージできるからです。両国の時、お客さんの声がよく聞こえるんですよね。試合をしながら「誰だ、この『聖也君!』って叫ぶ女の子は?」と。誰の娘だろう」と。結局、阿久井(ユーリ阿久井政悟)の娘だったんですけど。あの試合(ノンタイトル戦)だから、声が聞こえたのかもしれないですが、両国はお客さんとの距離が近い印象でした。
■世界チャンピオンになって1年。取った時と今とでは見える景色は変わったと思いますが。
堤 なんていうんだろなぁ。チャンピオンと呼ばれることにも慣れてきたし…。良くも悪くも危機感を感じて向き合って、より生活していかないといけないな、という思いが強くなりました。もっとチャンピオンでい続けていたいみたいな気持ち。そして、より強くなること。