■アマチュア時代からのライバルでいつか、対戦したいと?
井上 階級も一つしか違わなかったので(恒成が)バンタム級に上がってきたら"いずれやるんじゃないかな"と思っていました。
■この一年でバンタム級は、大きく構図が変わりました。試合をしていない中、どのように見ていましたか?
井上 どういう風にというのはないですね。でも、ずっと試合の話しがなかったわけではなくて、世界戦ができるという話は聞いていたので、他がどうこうというより、反省点と次に向けて準備をしていました。自分のやるべきことをしていました。
■ここを勝った先のビジョンについて。
井上 考えてないですよ。まずは天心戦。それだけです。まずは勝たないと何も始まりませんから。今は勝つための練習をしています。
井上拓真ここにあり!を見せる
■この試合で示したいものとは?
井上 ここをバチっと勝って「井上拓真ここにあり」、というところをまだまだ見せたいですよね。
■井上尚弥選手が、「絶対に勝てるから挑戦させてほしい」と、後押ししたとのことですが。
井上 それはナオが率直に思ったことだと思うので、それについて自分から深く聞くことはないです。
■では、最後に試合への意気込みをお願いします。
井上 どんな展開、内容になっても、とにかく勝ち取ること。勝ちにいく。そこですね。
■どうもありがとうございました。
「ボクモバの目」
インタビューを通して感じたのは、井上拓真の落ち着きと覚悟の強さだ。敗戦から1年という空白は、反省と準備の期間であったことが言葉の端々から伝わってくる。派手な言葉で自分を飾るのではなく、「勝つための練習をしている」と語る姿勢は、ボクシング人生そのものを表しているように思えた。天心との試合は、彼にとってハイリスクであると同時に、大きな再起のチャンスだ。この舞台で勝利をつかめば、再び世界の中心に名を刻むことになるだろう。「井上拓真ここにあり」。11月24日が益々、楽しみになった。
<取材・構成/やすおかだいご>
<写真/YUSUKE・Bobby・AndStill>