■なるほど。
石井 それがわかっているから前戦もストップに持っていけた。以前は、スカッと倒したいという葛藤もありましたけどね。薄々気づいていたので、そこは認めてストップに持っていくスタイル。
■ここからは、どのような道に進みたいと思っていますか?
石井 世界チャンピオンが井上尚弥選手なのでね。上の階級に行き、返上した時にすぐに食い込める位置にいけるように。ほかのチャンピオン(OPBF東洋太平洋王者=中嶋一輝、WBO-AP王者=村田昴)も強いですが、自分の名前や顔を売っていきたい。そういうことを考えながら防衛していきたい。なので、チャンピオンになって満足して防衛戦という気持ちはないですね。
■世界ランキングにはまだ名を連ねていませんが。
石井 WBCはすごく下に入っていますよね。いずれ世界ランカーとやっていきたいですが、まだ焦りはないです。世界を見ていないわけではないですが、しっかりやるべきことをやって力をつけていきます。
■射場会長からは、どのようなことを言われていますか?
石井 褒めてくれることが多くなりましたね。段々、自分のボクシング定着してきて「貫禄が出てきた」と言ってもらいますし。やっぱり自主興行をやりたいですね。
■埼玉県のジムからは何十年かぶりのチャンピオン誕生となりました。
石井 岩渕さん以来ですね。埼玉を盛り上げたい気持ちはあります。キッズやアマチュアといった強いジムがありますが、プロになってからチャンピオンが出ていないので。うちのジムでキッズの練習会をした際、ベルトを見せたら喜んでくれたり、埼玉のジムの会長さんから「おめでとう」と声をかけていただきました。埼玉だけではなく、いろいろなジムの会長さんから祝福していただいたのはうれしいですね。自分はJCLの大会で手伝いをしていて顔を出しているというのもあると思います。
※岩渕真也氏(元日本スーパーライト級王者、2013年2月の防衛戦を最後に返上)
■次戦のテーマを教えてください。
石井 圧倒的に支配して力の差を見せつけたいですね。力の差を見せたいですしあると思っているので。圧勝すると思います。
■どうもありがとうございました。
「ボクモバの目」
石井は、自らの成長とともに「本質的なボクシング」の重要性を絶えず見つめ直し、そこに磨きをかけている点が印象的だった。自己の強みと弱みを冷静かつ的確に把握し、自らのスタイルに誇りを持ちつつも、苦手な部分に対しても正面から向き合う誠実さも持っている。真夏のスーパーバンタム級王座戦。石井が王者の風格を見せるつもりだ。
<取材・構成/やすおかだいご>
<写真/YUSUKE・KIKO>