■打ち合いになりそうですね。
アオキ ですね。かなり見応えのある試合になりますよ。面白いですよ。今までで一番面白い試合になるんじゃないかな。藤田選手は、初めてのタイトルマッチということもあって、思い返すと自分が初めて挑んだ気持ちと同じなんだろうな、と思います。どういう気分でいるのかわかりますね。
相手の気持ちがわかる
■これで3度目の挑戦ですがやはり気持ちとしては違うのでしょうか?
アオキ 全然違いますね。最初は「タイトルマッチってなんだろう」と思っていました。タイトルマッチは何か魔物のようなものが住みついていますね。今回で3回目ですが、連続で体験するのはどのような気分かわからないのですが、いつも以上のパフォーマンスができると思います。
■前戦、ベルトを掴むのに何が足りなかったと思いますか?
アオキ 足りなかったというより空回りというか。自分の中で予想外のことが起きました。戦前、「俺のパンチは当たります」と言っていたのですが、まさか初回から当たるとは思いませんでした。それで顔面を狙いすぎてしまいました。腰が浮いてしまい、強いパンチを打ち込むことができなかった。当たっても意味のないパンチでした。
■打たれ強いイメージがありましたが、最後はショッキングな倒れ方でした。このような倒れ方をするんだと。
アオキ 自分でもそう思いました。今でも記憶がないですし、ショックですよ。でも、辞めようとは全く思わなかった。しかし、記憶がないですし、どこをどう改善していこうか、何が悪かったのだろうと考えるのが大変でした。奥村さん(奥村健太トレーナー)と「これは違う。こうだった。ああでもない、こうでもない」と話し合いながら結論を出しました。何を向上させないといけないのか、何が無駄だったのかが見えてきました。
■年齢を重ねてプラスになっていることはありますか?
アオキ 経験です。がむしゃらにやらないのが一番ですね。がむしゃらにやっても限界がある、地方にいた時から感じていました。
■アオキ選手を初めて取材した時のことは今でも覚えています。すさまじい練習量でした。
アオキ まず、5qロードワークをしてから、一人でサンドバッグを3時間打ち続けて。しかも現場仕事を終えてからですからね。あの時はどんなに食べても太りませんでした。筋トレをしていなかったからというものあるのですが。だからこそわかります。「努力は裏切らない」と言いますが、裏切らないけど遠回りはする。
■なるほど。
アオキ 遠回りする中で、途中で辞めていく。どれだけ近道で行くかですね。努力の仕方を間違っていたらある意味、嘘になります。でも、あの時にその経験をしたから、こそ言える言葉ですね。懐かしいですね。
■アオキ選手からいつも感じるのは、ブレない気持ちです。
アオキ そうですね。ボクシングの目標に対してはブレないですね。諦めようとも思わない。岡田さん(岡田博喜)の試合で米国フレズノに帯同した際、クロフォード選手(テレンス・クロフォード)と握手して、米国のリングに上がって体を動かした。世界が近づいているのを感じます。それは揺らぐことがない。たとえ34歳でも関係ない。衰えは感じないです。知識が入ってきて、むしろさらに強くなっています。