■桑原選手は、前戦の湊義生(JM加古川拳)戦で、これまで以上に気合いが入っていた姿が印象的でした。熱いのですが冷静な試合運びをしていましたね。
桑原 「クールに燃えろ」。これは、ボクシングを始めた時に所属していた大鵬ジムの大鵬健文会長から教わった言葉です。いつも頭の中に入れています。試合に向けての練習時が一番、気を張っているのですが、コンディションが仕上がって試合直前には「これだけ練習したんだから、負けたら仕方ない」と、自信を持ってリングに上がります。試合の時は吹っ切れています。
■これまでプロになってから効いたパンチはありましたか?
桑原 ほとんどないです。前回の試合は、ポカをしてパチンともらいましたが、見えていたし芯ではもらっていないです。2019年12月に試合をしたリカルド・スエノ(フィリピン)戦で一発もらって、効いてはいないのですが、頭が痛いというのはありました。
■ほとんどのパンチは見えているということですか?
桑原 効くパンチって見えない角度から飛んでくるパンチじゃないですか。少しでも反応ができていたら、体が勝手に準備をするので効かないですね。大体の選手のパンチには反応できますが、井上拓真のパンチは見えないです。何度か効かされました。
■そういった意味で阿久井選手の右ストレートにどのように反応できるのかですね。
桑原 ワクワクしますね。右足を前に出しながら打つじゃないですか。思っている以上に威力があり伸びてくると思います。スリルは絶対にあると思います。スリルは好きなので。湊戦も一発入れたら倒せるぞというパンチを打ってきたので、スリルがあり楽しかったです。
■次戦は、フェニックスバトルのメインイベントになります。
桑原 気合いが入ります。会長にチャンスをいただいたので、獲らないといけないです。
■桑原選手にとって次戦の位置付けを教えてください。
桑原 世界に行くために絶対に落とせない試合。だからといって通過点とは思っていないし、しっかりここを勝ち切らないと世界なんて言っていられない。
■次は、どのような試合を見せたいですか?
桑原 ユーリ選手のあの強打をひょいひょいと空回りさせるところを見せたい。その自信はあります。それを10ラウンドやってこそチャンピオンになれると思うのでチャンスがあれば倒しにいきます。
■どうもありがとうございました。
「ボクモバの目」
桑原は「絶対に勝たないといけない試合」と何度も言葉に力を込めた。取材後のスパーリングでは、元WBO世界フライ級王者の木村翔(花形)と火の出るような打ち合いを見せて、この試合にかける気持ちの強さを見せた。桑原に訪れたボクシング人生最初の分岐点となる試合で、どのようなパフォーマンスを見せるのか。間違いなく初回から目の離せない試合になるだろう。
<取材・構成/やすおかだいご>
<写真/>Kishimoto・Bobby>