15年12月にプロデビューし、ここまで14戦全勝(11KO)と無敗を誇る日本スーパーライト級王者の井上浩樹(27=大橋)が、ステップアップとなるWBO(世界ボクシング機構)アジアパシフィック同級王座獲得を目指す。試合は12月2日(月)、後楽園ホールで開催される「フェニックスバトル.70」のメインイベントにセットされ、同級7位のジェリッツ・チャベス(27=比)と空位の王座を争う。
戦績14戦9勝(7KO)3敗2分のチャベスは昨年5月に内藤律樹(E&Jカシアス)が保持するOPBF東洋太平洋同級王座に挑戦。判定で敗れこそしたが、終盤に右フックでサウスポー王者から2度のダウンを奪うなど善戦したハードパンチャーだ。内藤と同じサウスポーの井上は、チャベスを攻略する上で集中力がカギになると話した。
■練習を拝見しましたが、2階級上の中島玲選手(21=寝屋川石田)と緊張感のあるスパーリングができていますね。
井上 彼とはもう3回目ですね。今度の相手も似たようなファイターなので感覚を掴むうえで助かっています。僕は下の階級とスパーをすることはないし、いつもこんな感じですよ。
■試合2週間前にも関わらず、随分とハードな練習をするなと感じました。怪我など怖くはないですか?
井上 たしかにそれはありますが、気を抜けない分、しっかりとディフェンスを意識した良い練習ができていますよ。
■減量の方も順調そうに見えます。
井上 いや、ここ最近は疲れが溜まっていて、逆に落ちすぎて悩んでいるんですよ。
■アニメ好きの井上選手は最近、漫画も描いているそうですね。ボクシング以外で忙しいんじゃないですか?
井上 そうかもしれない(笑)。でもあれは負担にならない程度ですよ。誰に教わったとかはないんですが、昔から絵を描くのが好きで、外に出るより家にいることの方が多かったですね。
※別冊カドカワ、自身のツイッターで「闘えコウキくん」を掲載
■子供の頃はボクシングのほかにバスケをやっていたと聞きました。
井上 漫画の「スラムダンク」がカッコ良くて、小学校から中学までやっていました。それと並行してボクシングもやっていて、中学の時にはスパーリング大会とかにも出ていましたよ。僕は高校生で出場できなかったのですが、U-15はナオ(ひとつ下の従弟、井上尚弥選手)が第1回の大会で優勝しています。
■12月でプロ5年目に突入します。14戦14勝(11KO)と全勝のキャリアをどう捉えていますか。
井上 まだ納得のいく試合はできていませんね。いつも「もっと動ける、もっと強いパンチが打てるのに」と思うばかりです。色々考えすぎな部分もあるとは思うのですが、理想の半分もいっていないですね。
■今年4月に細川バレンタイン選手(角海老宝石)から日本王座を獲得した時の涙は印象的でした。
井上 あれはバレンタインさんという存在が僕のなかで大きく、ちょっとネガティブな発想が出てしまい勝てる気がしなかったんです。その選手からベルトを奪えたことが重く、ホッとして涙が出てしまいました。
■さて、次の対戦相手は元WBOアジアパシフィック王者の岡田博喜選手(角海老宝石)、OPBF王者の内藤選手と判定まで戦い抜いた実力者です。映像は見ましたか?
井上 特別にどこが上手いとかはないですが、打たれ強く、プレッシャーの掛け方とかを見ると簡単にはいかない相手だと思います。その選手を倒せれば自分のレベルアップを感じられるんじゃないかな。勝てば世界ランクにも入るだろうし、モチベーションは高いですよ。