■小國選手が日本王座を返上した4年前頃ですね。
小國 俺が「サウスポーが苦手なんや」って言ったら、「左でコントロールできません?」って軽く返され、聞く人が違うと思ったね(笑)。普通の車同士だったら、「あそこのカーブ難しよな」って会話ができるんだけど、井上くんの場合は「200kmで回ると流石に首がきつい」と返ってくるので話の次元が違う。
■井上選手はそのまま現在に至るといった感じですね。
小國 確かにきつい練習をしてますが、持って生まれた質も違うんでしょう。日本ボクシング界の最高傑作だと思いますね。ただ、俺は13度防衛した具志堅(用高)さん、6年もベルトを守った内山(高志)さんも長くトップで体を維持したという意味で凄いと思う。でも単純な強さは井上くんでしょうね。
■話を戻しますが、ここ最近、実戦で長丁場の試合をしていないことはウィークポイントにはなりませんか。
小國 ならないと思いますよ。なぜなら井上くんと試合をして、後半まで井上くんより元気でいられる選手はいないから。井上くんが9〜10ラウンドにめっちゃバテたとしても、相手はそれ以上にフラフラですよ。最悪、足を使えばいいだけ。
■すると、やはりドネアにチャンスがあるとすれば前半なのですね。
小國 だから前半のKO決着になる可能性が高いと思いますよ。ただやっぱりドネアの勝ちはないな。井上くんもそれを予想して、1〜2ラウンドはめっちゃ見ると思う。そこでタイミングを掴んで4〜5ラウンドで決める。ロドリゲス戦のように、初回に硬かった井上くんが再現されるとしたら、唯一ドネアがつけ込めるチャンスだと思いますが、まあ無理でしょう。
■自身についても聞かせてください。次戦の予定は?
小國 まだ何も決まっていません。右拳の怪我も完治したので来年はなんとか勝負したいけれど、井上くんが上げてきたら全部持っていかれそう(笑)。
■それでは最後にこの試合の見どころをお願いします。
小國 1〜2ラウンドに井上くんが様子を見るとしたら、ドネアは井上くんが出たところで一緒に動くと思う。前半、5〜6ラウンドまでの濃密な試合を見させてくれるんじゃないですかね。35歳でやってるドネアも凄いと思いますが、井上くんにスパッと勝ってもらいたい。ファン目線で注目してますよ。
「ボクモバの目」
約1年に渡って繰り広げられてきたWBSSもついに決勝戦。井上の圧倒的な強さが燦然と輝く今大会は、5階級制覇王者と言えども引き立て役に過ぎず、小國はヒリヒリとする濃密な攻防から、6ラウンドまでに井上が決着をつけると予想する。元世界王者もファン目線で待ち焦がれる世紀の一戦は、11月7日(木)フジテレビ系列で全国生中継される。
<取材・構成・写真/野原>
<試合写真/YAMADA/ボビー>