■井上選手の圧勝で終わりそうですか?
小國 俺は井上くんの4〜5ラウンドでのKO勝ちだと思いますよ。ただ、ドネアにも期待値があるし、井上くんのパンチを前半耐えたら6ラウンド以降のKOはなく、判定もあると思います。
■どんなパンチにも慣れてくるものですか。
小國 井上くんはタイプで言ったら、スピードのあるドッスン系で、最初から出力100で来るんです。それに面喰わずに堪えることができれば、ドネアクラスなら慣れてくるでしょうね。ただ、タイミングを外して打ってきたりしたら話は変わります。でも、ここ最近の試合は世界のトップクラスと言えども3ラウンド以内に倒されているでしょ。やっぱりあの出力は最初、誰でも分からないんです。でも、ドネアが警戒をして頭を振ってディフェンスをすればそこそこ行くんじゃないかなと思います。
■ドネアが初回から勝負を懸ける展開になったら?
小國 ドネアが能力では勝てないと分かっていて、体が持つうちに仕掛けてくることは十分にありえますよね。井上くんと一緒に打ちに行って、一発を狙う。そこしか勝機はないでしょ。ただ、どうやったら井上くんが負けるのか俺には分からない。他の選手の参考にはなりませんよ。ロマチェンコを見て、あのフットワークを真似しようとは思わないのと一緒で、その域にいるって本当に凄い。ホンマの世界チャンピオンだと思います。
■井上選手の強さを例えるとしたら、どのレベルなのでしょう。
小國 分かりやすく車に例えたら、選手はみんな四駆だったり、フェラーリ、ポルシェ。世界チャンピオンクラスでちょっといじった警察のクラウン。俺なんか燃費の良い軽ですよ(笑)。言ってみればみんな市販車ですが、井上くんはF1。エンジン、足回りを変えて勝負しようと言ったって、市販車がフォーミュラーカーに敵うはずがない。ほんまそんなイメージです。積んでいるエンジンの性能が違う。勝つとしたらF1が途中リタイヤするのを待つしかない。
■以前はその破壊力で拳の怪我にも悩まされた井上選手ですが、今はバンテージの巻き方なども研究しその欠点さえも克服しました。
小國 言うてもあのパンチ力は当たりどころが悪かったら故障しますよ。ただ、この間のロドリゲス戦、最初はちょっと体が硬いなと思って見ていたら、2ラウンド目は凄く柔らかくなって終わらせたでしょ。あの強さは何なんでしょうね。
■小さい頃から積み重ねてきた自信ですか。
小國 井上くんがまだスーパーフライ級の頃に一度スパーリングをしたことがあって、終わってから「誰かにやられたことある?」って聞いたことがあったんですよ。その時に返ってきた言葉が、嫌味っぽい感じじゃなく普通に「ないっすねー」って。「そうやな。そりゃないわな」って思いましたね。井上くんとのスパーリングは、俺にとっては寿命を縮めるだけ。単純にやられて自信をつけることはなかった。