KOを量産する清水の拳

木村 次の試合のことも聞かせてほしいんだけど、相手は16戦16勝(10KO)無敗のサウスポー。対策は?
清水 う〜ん、ビデオも少し見ましたが、対策というよりも、自分のボクシングができるようにコンディションを整えるだけですね。

木村 相手の対策はあまりしない方かな。
清水 いや、僕は相手の弱点を見つけるのが得意なんですよ。映像を見たらここが弱点だって分かる。

木村 へ〜、それは凄いね。そんな選手はあまりいないと思うよ。
清水 意外と分かりますよ。簡単なところで言うと、「あっこいつ体力ないな」とか、「このパンチは当たるな」とか。僕は結構、感覚でボクシングをする方なんですが、実際に戦うと分析していたことが当たっています。

木村 逆に理論派に見えるよね。清水みたいな長身のサウスポーってあまりいないから、相手にしたらやりにくいと思う。試合展開のイメージは?
清水 向こうはフットワークを使って、回りながら打つと言ってたので、必然的に僕がそれを追いかけながら打っていくことになるでしょうね。

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木村 僕も上原選手の映像を見たんだけど、ストレート主体に右フックも打ってくるような選手。同じサウスポーの試合は今回で2度目だけど、得意な方かな。
清水 アマチュアでは一日の大会で右のファイター、次は左のアウトボクサーっていろんなタイプと対戦するじゃないですか。あれを経験していたら右も左もあまり関係ないですよ。とにかく自分次第。

木村 世界ランキングも今やWBCで6位、IBFで3位。意識するチャンピオンはいる?
清水 特にいないですね。贅沢を言ってられないので挑戦できるなら誰でも構いません。WBC王者のゲイリー・ラッセルJrとはアメリカの大会で一緒に出ているんですよ。戦ってはないけど強かったですね。

木村 IBF3位なら挑戦者決定戦の話も来そうだね。2位が空位ということは、チャンピオンのジョシュ・ウォーリントン(英)と1位のキッド・ガラハッド(英)がやって、3位の清水と4位の阿部麗也選手(KG大和)の可能性もあるよね。
清水 どうなんですかね。阿部選手とはスパーリングをやったことがあります。細野さんに勝ってランク入りしたんですよね。だから日本で試合が組めなくて大変だって言ってましたよ。
※元日本・東洋太平洋フェザー級王者・細野悟(大橋)。木村とは法政大学ボクシング部同期。
 

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木村 阿部選手は来年のチャンピオンカーニバルへの出場が決まっているけど、あまり意識はしない?
清水 僕はジムを信じ、マッチメイクはすべて会長に任せているので、どうこう言う立場じゃないです。それにライバル意識とか疲れるだけなので。もちろん試合が決まれば意識しますが、やるかやらないかのうちに考えていたら精神的に疲れますよ。

木村 清水が言う2軸重心同時打撃って何なんなの。
清水 あれはですね、僕の高校時代の恩師が教えてくれたんですが、簡単に言えば体重移動で、いかに楽に省エネで動くかです。力を入れて体幹で打っていると疲れるじゃないですか。それを体重移動でパンチを飛ばしていくと。

木村 そういえば昔勉強したな。それが2軸で動くということか。陸上短距離の末續慎吾さんがやっていたトカゲ走りとかもそうかな。
清水 そう、他にテニスだったり、いろんなスポーツで取り入れられていますよ。ボクシングだとパンチを振りまわすんじゃなくて、体を振った時や移動で打っていくので疲れにくいんですよ。練習ではきつく、試合では楽にです。

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木村 清水とスパーリングをやった選手に話を聞くと、体つきは細いのにめちゃくちゃパンチがあるって言うよね。拳が硬いのかな。
清水 硬いっすね。握力は50キロちょいと普通なんですが、とにかく骨が硬いんですよ。空手みたいに鍛えたわけじゃなく、特別な物も食べてきたわけじゃない。生まれ持ったものですね。バンテージを巻く専門の人に「ガチで硬い」って言われました。

木村 左構えで背が高く、おまけに拳が硬いって、相手にとっては本当に嫌な選手だよね(笑)。
清水 前回の試合でもそんなに強く打っているわけじゃないのに、相手の顔が見る間に腫れてきて(笑)。パンチにはパワー、スピードとキレ、硬さがありますが、僕の場合は硬さですね。骨が強いから痛めたこともないですよ。

木村 良い拳を持っているね。話を変えて、最近のアマチュア問題についてはどう感じている。オリンピックの種目から外れたら嫌でしょ。
清水 ヤバいですね。古代から続く競技がなくなるって想像できない。確かにアマの採点は難しいと思いますよ。まあ少しずつ改善はされているんでしょうけど。

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