もう一人のプロは、ジム最古参である品部正秀(34)だ。7勝(3KO)15敗2分けで現在4連敗中だが、長いトンネルを抜け出すべく練習に打ち込んでいた。愛媛県出身の品部は大学入学と同時に茨城県に移り住み、興味本位でボクシング部に入部する。ボクシングの魅力にすっかり虜になりプロを目指したという。「生きていてこんなに夢中になれるものは他にないんです。負けても人のせいにできないじゃないですか。最高ですよ!」と言って会長のミット打ちに向かって行った。練習が終わると「毎日の習慣です」と言って窓を掃除してから帰り支度をしていた。こんなにひたむきな品部を見て、次戦では勝利の喜びに酔いしれてほしいと心から願った。

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　取材も終わりが近づき、ずっと気になっていた「BOY'S水戸ジム」と名付けた理由を聞いてみた。「僕は同世代より子どもたちと接している方が楽しいんです。ずっと子どもたちと触れ合っていきたいと思ったからなのと、無邪気にいつまでも夢を追っていきたいと思ったからBOY'Sと付けました。自分の名前をジム名にしようとは思いませんでした」と笑顔をみせた中島会長。「長いことジムをやっているので、近所の子どもたちがジムに来るようになりました。その中には不登校だった子が学校に行くようになったそうです。親御さんから感謝されると、僕でも少しは役に立っているのかなと思います。ここが僕の居場所。これまで通りにみんなと楽しく過ごせたらと思っています」と、はにかむように微笑んだ。

<取材・構成・写真/やすおかだいご>

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