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[東京ドーム決戦]2026.1.17

井上尚弥と中谷潤人、本当の勝負は5月

井上尚弥と中谷潤人、本当の勝負は5月

 ボクサーの現役寿命が延びたことで、「加齢による変化」や「ピークアウト」を語る機会が増えた。中でも最も顕著なのは、視力や反応速度の変化だろう。世界のトップ戦線で戦う選手であればあるほど、それまで誤差の範囲に収まっていた僅かなズレが、無視できない違和感として表面化する。

 元世界王者の内山高志氏は、引退前の現役時代を振り返り「以前ならもらわなかったパンチが、かするようになった」と語っていた。パンチ力やスピードそのものが急激に落ちるわけではない。ただ、反応が一瞬遅れる。その“ほんの一拍”が、トップレベルでは決定的な差になる。




 問題は、それが身体能力の低下として表れる以前に、判断の質へ影響を及ぼすことではないか、という点だ。

 以前、セレス小林会長は井上尚弥(32=大橋)の一番強いところを「ハート」だと断言し、大橋秀行会長は「悲壮感がない」と表現した。モンスターの精神力が衰え、気弱になる――そんな姿は想像しがたい。だが、勝負どころでの判断が、かつてと同じであり続けるのか。

 ノニト・ドネア(43=比/米)との初戦では、2ラウンドに眼窩底骨折を負い、右目は二重にブレて見えていた。それでも右目をグローブで封じ、片目で10ラウンドを戦い抜いて勝利した。2戦目を前に「今回は最初から両目で見える。ドラマにはならない。一方的に、触れさせずに終わる」と語った言葉からも、恐怖や慎重さとは無縁のメンタルがうかがえる。

 昨年12月、判定勝利で終えたアラン・ピカソ(25=メキシコ)戦の翌日、サウジアラビアから尚弥と共に帰国した父・井上真吾トレーナーは、「丁寧な組み立てができていなかった」と課題を挙げつつ、「良い意味で話し合うタイミング」とも語った。

 ムロジョン・アフマダリエフ(31=ウズベキスタン)戦の一夜明け会見で、尚弥は“我慢”をテーマに、ポイントアウトのボクシングに徹した理由を、こう振り返っている。

 「そのまま倒せるかといったら分からないが、何度か倒せそうな場面はあった。ただ、レベルが高い選手で、そこを狙っているのが分かっていた。アフマダリエフが防御に回っている時に、こちらが自信過剰に行きすぎるところを狙っているのがヒシヒシと感じられた。だからブレーキをかけて、判定でもいいから、しっかり勝つことに徹した」

 事実、プロ32戦中27KO、KO勝率84%を誇る井上尚弥が、アフマダリエフ戦、ピカソ戦と、2試合連続で判定勝利を収めたのは初めてのことだ。これをもって衰えと断じるのは、さすがに早計だろう。ただ、勝ち方に変化が見えたのも事実である。

 戦い方の変化といえば、43歳のドネアが29歳だった堤聖也(角海老宝石)と対戦した試合でも、象徴的な場面があった。4ラウンドにダウン寸前まで追い込みながら、終了のゴングが鳴る。1分のインターバルを挟んだ5ラウンド、ドネアは一気に距離を詰め、仕留めにいく選択をしなかった。親交のある赤穂亮氏は「以前のドネアなら、迷わず行っていた」と語る。そこにあったのは、“衰え”という一語では片付けられない“選択の変化”だった。

 ここで視点を変えたい。

 それは本当に、消極的な判断だったのだろうか。

 井上尚弥はいつも本音で話してきた。リヤドからの帰国会見で、今年5月に東京ドームで対戦する中谷潤人(28=M.T)の評価を問われた際も、「昨日の試合が勝負じゃない。来年の5月が勝負ですから」と明言している。

 この言葉を真に受けるなら、直近の試合で見せた判断は迷いではない。

 意図的な“封印”だったのではないか。

 より大人の言葉を使うなら、“リスクヘッジ”である。

 アフマダリエフ戦後には、「こんなにKOしないで勝つのが難しいとは思わなかった」と語った。勝ち方を選ぶことの難しさを、誰よりも理解している選手だ。ピカソ戦後の「倒せなくて悔しい」という言葉の真意は、本人のみぞ知る。

 昨年、井上は4試合を戦った。アフマダリエフ戦は2年前から名古屋・IGアリーナの柿落とし興行として構想され、サウジでの試合も1年前には決まっていた。世界王者であっても、2試合、3試合先まで予定が埋まることは稀だ。まして2年先など、通常はあり得ない。

 だが井上尚弥が背負っていたのは、一興行ではない。新設アリーナのスケジュール、オープニングイベント、大規模なマーケティングプロモーション――“井上尚弥”という存在そのものが、巨大なプロジェクトだった。 「プレッシャーはあった」と振り返る言葉に、その重みがにじむ。

 選手としてだけでなく、チャンピオンとして、象徴としての責務を全うしてきた。その事実には、ただ感謝しかない。

 そして、今年5月の決戦後のことは、まだ決まっていない。

 他のレジェンドたちと同じように、ただ次の一戦に集中できる環境が、モンスターの下にようやく整った。


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