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[立ち話]2022.3.27

矢吹正道が明かしたリングの中で考えていたこと

 前WBC(世界ボクシング評議会)世界ライトフライ級王者の矢吹正道(29=緑)が27日、愛知・刈谷市あいおいホールで開催された緑ジム主催の「GREEN Dream.16」に来場。後輩ボクサーの試合を観戦した。

 試合後にボクモバの取材に応じた矢吹は、3月19日(土)に京都市体育館で開催された寺地拳四朗(30=BMB)との世紀の一戦を振り返った。

「試合映像はほとんど見ていない」
 「負けたので、素顔を見せるのは勘弁してください」とサングラスをしたままで、写真撮影に応じた矢吹。「すぐに終わったので、試合をした感じがしない。ボコボコになったのではなく、きれいな顔なのが悔しい」。決戦から8日が経った試合の感想を口にした。試合映像も、SNS上にアップされていた最後のダウンシーンだけを見たという。
「最初から前に出てきたのは想定外」
 「終わってから言っても仕方がないが」と前置きした上で、「ファイタータイプは苦手ではないが、昨年6月からずっと拳四朗対策をしていて、相手の足の動きとジャブを潰すことしか考えていなかった。拳四朗選手が前に出てきたので、久しぶりに足を使いながら戦ったが、試合をしながら『打ち合うべきなのか。練習でしていないことをしていいのか』と葛藤があった」と、試合中、自問を続けていたことを明かした。
「すべてが裏目に出てしまった」
 「4ラウンドから出てくることは予想していたが、初回から出てきたのは想定外。打ち合ってスタミナを消耗させる作戦なのか。足を使った動きはできるが、この試合に向けて練習していないことをやらざるを得ない展開だった。4ラウンドまではジャブで捌いて公開採点で戦術を決めようとした」。「今回の試合は、いつもより体重を2s重くして、相手のプレスに押し負けないようにしたが、動きが鈍く、すべてが裏目に出てしまった」と淡々と話した。

 続けて「向こうのトレーナーがすごいし、トレーナーの言うことをしっかりと聞いた拳四朗本人もすごい。自分だったら同じこと(試合に向けてのスタイルの変更)を言われたら『嫌だ』と言うと思う」と、拳四朗陣営の戦術に感服した。
「今後のことは何も考えていない」
 初防衛戦でベルトを失った。試合後は、前戦と同じくらいSNSに多くのコメントが届いたという。 「自分の良いところが何ひとつ出なかった。出させてもらえなかった。今は何も考えていない。『無』の状態。今後どうするかも決めていない」。試合後はジムワークを行っていない。1週間以上練習を休むのも、ボクシングを始めてから初めてだという。
「今はゆっくりと休む」
 取材後、「弟のタイトルマッチが決まったら、よければまた取材に来てください」。日本スーパーフェザー級4位の力石政法(27)を気遣う良き兄の姿を見せた。

 昨年9月の戴冠から7ヶ月。今は激戦で疲れた体と心をしっかりと休めてほしいと願う。

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