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WBO(世界ボクシング機構)バンタム級タイトルマッチが3日、東京・有明アリーナで行われ、チャンピオンの武居由樹(28=大橋)と、元世界王者の比嘉大吾(29=志成)が激突。世界王座初防衛に臨んだ武居に、世界王者返り咲きを目指した比嘉が挑んだ。
期待通りの居合い抜きで、ファンを魅了した試合。武居の右アッパーと比嘉の左フックの打ち下ろしが、それぞれ光った。距離を取る武居に比嘉が飛び込んで距離を詰めると、武居はアッパーを振り上げた。武居も中間距離から鋭く踏み込んでプレッシャーをかけた。随所で繰り出される、比嘉の右ストレートと武居の右フックと左ストレートが、会場の緊張感を高めた。効果的なジャブを突いた比嘉が、一気に距離を詰めるとロープまで武井を追い込んで、左右のボディと右を飛ばす。互いに有効打で目元をカット。試合が動いたのは、11回。比嘉の左フックで武居がダウン。武居はすぐに立ってスリップをアピール。12回、比嘉の動きが止まると、武居は一気に攻め立てるがダウンは奪えず。最後は抱き合って試合を終えた。静まり返った有明アリーナにジミー・レノンJr.の「And Still Champion 」の声が響いた。
試合後のリング上、勝利者インタビューに答えた武居は、「大吾君、ありがとう」と拳友に感謝の気持ちを伝え、最後に「10月の天心君、頑張ってください」と、タイトル初挑戦を迎える那須川天心(26=帝拳)にエールを送った。
試合後会見で比嘉は、「初めていい試合ができたんじゃないかと思います。いつもは、倒そう倒そうとしてたんですけど、やり切った感が強いです」と笑顔を見せながら、試合を振り返った。武居に関して「サウスポーで、ガードの上からでも強い。出所が上手い。距離感も上手い選手でしたね」と、称えた。
ダウンを奪ったシーンに話が及ぶと「左フック、いいフックが当たってダウンしたと思った。野木(丈司トレーナー)さんが、カウンターで左フックが当たると言ってたんで、ピンポイントで当たりました」と笑顔を見せた。最終回に関しては、「12ラウンドは動きが落ちた。相手の距離でいいパンチをもらった。いつもの強引さがなく、自分がやらないといけないことを相手にやられた」と続けた。
やや間を空けて、「すごいボクシング人生だった。色々あってから、野木さんとトラロックに拾ってもらって、楽しい10年間でしたね」と、マネージメント会社と志成ジムの関係者に感謝の気持ちを伝えた。その上で、「やり切ったと思うし、悔いはなし。みんなもわかっていると思う。復帰してやる気があったりなかったりの中で、見捨てず世界戦を組んでくれて、決まってから死ぬ気で頑張った。世界戦の舞台に戻って来たんじゃなく、戻らせてもらった。勝ち負けは神様に任せて、自分は試合を楽しんでやりきった」と引退を示唆した。その上で、「6年前の体重超過から辞めるつもりだったが、野木さんからしつこく連絡が来て練習して、正直お金のための試合だったが、今回の試合を組むために動いてくれた人たちへのありかたさに、遅いけど今頃気付いた。野木さんや会長にチャンピオンになって恩返し出来なかったけど、別のカタチで恩返しする」と、これまで二人三脚でキャリアを積んできた野木丈司トレーナーへの感謝の気持ちが溢れた。
試合後会見で武居は「12ラウンド、試合中はずっと楽しかった。アッパーはすごく練習していた。大吾さんが前に出てくるのにアッパーを合わせたり、詰められた時にアッパーをら使うという意識で打っていた。ただ、大吾さんがアッパーに左フックを合わせてきたので打ちにくかった。大吾さんの圧力、気持ちの強さをすごく感じ、それに負けないようにと思って戦った」と試合を振り返った。
ダウンシーンに関しては「ダウンは自分の中では、床が滑ったという感じだったが、とられてしまったものは仕方がないと立て直した」。
試合終了後は大吾さんに「まだまだ上に行ってくれ」と言われ、自分も感謝の気持ちを伝えた。「今日は大吾さんのおかげで、いい試合になったが、内容的には納得できていない。自分の力不足を感じている。ボクシングの底上げをしていかないとと思っている。具体的には引き出しの少なさ、コンビネーションとか、詰められた時にどうするかなど、いろんなところを底上げしないと、ここから先は戦えないと思っている」と、さらなる飛躍を誓った。