[引退]2025.4.27
木村翔の引退スパーリングに八重樫東!

元WBO世界フライ級チャンピオン木村翔(36=花形)が27日、くまがやドーム体育館で開催された「DANGAN木村翔引退興行」で、元3階級制覇王者で、現在は大橋ジムでトレーナーを務める八重樫東氏を相手に引退スパーリングを披露した。
地元に凱旋し、多くのファンが見守る中、木村はどんなパフォーマンスを見せたのかーー。
元世界チャンピオン同士の対決は、ヘッドギアは着けず、試合さながらの形で行われた。豪華エキシビションは、序盤から八重樫がトリッキーなステップと、角度を変えたパンチで木村に襲いかかる。体を絞り込んできた木村は、スピードのあるジャブから右ストレートを当てた。
2分3ラウンドで行われたラストスパーリングの最終回は、序盤から足を止めて両者ハイスピードの打ち合いで、場内を大いに沸かせた。お互い現役時代に戻ったような動きを見せ、終了のゴングが鳴った。戦い終わった後は、この日1番の拍手の中、両者はお互いの健闘を讃えあった。
激闘を終えた木村は、リング上で「自分が世界チャンピオンになる前からスパーリングで使ってもらって、この人を超えれば世界チャンピオンになれると思いやっていた。最後、八重樫さんとやれてよかった」と、憧れの世界チャンピオンに感謝の気持ちを語った。
引退セレモニーでは、まるで相撲の引退式で髷を切るように、木村と親交のあった関係者達によるバンテージカットが行われた。多くの関係者が集まりハサミを入れ、木村の人望が伺えた。
最初にバンテージにハサミを入れた中国のプロモーターリュウ・ガン氏は「今日見た試合は、今まで見た木村の試合で一番良かった。中国でゾウ・シミン(=元WBO世界フライ級チャンピオン)と、もう一度引退試合をしてほしい」と粋な挨拶をした。
控え室に戻り囲み取材を開いた木村はヘッドギア無しでスパーリングしたことについて「それは僕のわがまま。これだけお客さんが集まってくれてヘッドギアをして戦うことはできなかった。本当はお互い怪我なくやろうという感じだった。今日八重樫さんに『僕はヘッドギアはつけられないです』と話したら漢(おとこ)八重樫もヘッドギアをつけなかった。それで最後あれだけ殴ってきたからやっぱり八重樫さん怖いなと思った」と笑った。
今後については、「ジムもオープンして1年経ち、会員さんが増えてフィットネスジムとしては安定してきた。次は違うジムを出してプロ、アマ問わずボクサー専用のジムを出したい。僕がいるせいかプロになりたいという会員さんが多い。それに応えてあげたい。最初はプロ加盟は全く考えていなかったが会員さんが増えてその余裕もできてきたかな」と、第二の木村翔を育てる可能性を示唆した。
デビュー戦では敗戦し紆余曲折もありながら中国で元オリンピック金メダリストの王者を相手に世紀の大判狂わせを起こし世界チャンピオンになった木村。最後はたくさんの関係者、友人に囲まれて最高の引き際を飾った。リュウ・ガン氏から提案されたゾウ・シミンとの中国での引退試合については「稼げるなら」と、笑いながら含みを持たせていたが「これでリングに上がって戦うのは最後」とケジメをつけた。
これからは場所を問わず戦い続け王者になったメンタリティが木村に憧れボクサーになった後輩達に受け継がれていくはずだ。
木村翔選手現役生活お疲れ様でした。
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