[一夜明け会見]2026.9.3
新チャンピオン石井武志が明かす「65秒の衝撃」

WBA(世界ボクシング協会)ミニマム級新王者の石井武志(26=大橋)が3日、横浜市内の大橋ジムで一夜明け会見に臨み、世界王座を獲得した喜びを語った。
石井は前日(2日)、横浜BUNTAIで同級2位のウィルフレッド・メンデス(29=プエルトリコ)との王座決定戦に臨み、初回1分5秒KO勝ち。開始直後から一気に距離を潰すと、カウンターの左ボディから右フックを豪快に叩き込み、世界初挑戦でベルトをつかんだ。
この勝利で、井上尚弥(33=大橋)が2018年10月のファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)戦で記録した初回1分10秒を上回り、日本人による世界戦最速KO記録を更新。大橋ジム6人目の世界王者となった石井が、歴史を塗り替えた電撃決着と、ベルトを手にして迎えた朝の心境を明かした。
衝撃のKO劇から一夜明け、石井は「朝、ベルトを見て『俺、チャンピオンになったんだな』と実感した」と、しみじみと喜びを噛み締めた。
試合後は、家族や親族が待っている焼き肉店に向かったところ、偶然にも同じ店に井上や武居由樹(30=大橋)がおり、「夢のような時間を過ごした」と振り返った。
井上からは「親族がこれだけ喜んでくれるのは、うれしいことだね」と声を掛けられたという。日本人による世界戦最速KO記録を更新したことも、リングを降りた際に井上から伝えられた。
石井は、ダウンを奪った左ボディについて「倒そうと思って打ったわけではなく、自然と出たパンチ」と説明。大橋秀行会長が初めて世界タイトルを獲得した際も決め手となった左ボディが、石井を世界の頂点へと導いた。
「最初から飛ばして12ラウンドを戦い、粘り強くギリギリで勝つつもりだったが、たまたま良いパンチが入った。カウント8くらいで『立ってくるな』と思った。10カウントが数え上げられた時は、言葉にならない感情だった」
大橋秀行会長と八重樫東トレーナーも巻いたWBA世界ミニマム級ベルト
大橋会長は「初回から行けと言ったが、それは倒せということではなく、ペースを握ってスタミナを削っていこうという意味だった。それがうまくハマった。体つきから違っていた」と、新王者の戦いぶりを称賛。「WBA世界ミニマム級のベルトは、自分と八重樫、そして石井が獲った。何とも不思議な気持ち」と感慨に浸った。
今回からコンビを組んだ八重樫東トレーナーは、「自分はサウスポーの選手を担当することが多いが、石井はオーソドックスでファイタータイプなので、自分の経験を当てはめやすい選手。初回から行ける選手と、そうでない選手がいるが、石井は行ける選手なんだと感じた。昨日は出来過ぎですね」と、鮮烈な決着に目を細めた。
全日本新人王から世界王者に上り詰めたのは、中谷潤人(28=M.T)以来6年ぶり。アマチュア経験のない石井が、4回戦から世界の頂点まで駆け上がった。
「今は『アマチュアをやっていない選手は世界を獲れない』と言われがちだが、4回戦からスタートした選手でも世界のベルトを巻けることを証明できた。気持ちがあれば、不可能はないと思う」
尊敬する武居からも「すごいよ!」と祝福を受けた。石井は「武居さんと一緒に世界戦をして、写真を撮ることが一つの目標」と、新たな夢を掲げた。
さらに、「このベルトに誇りを持っている。自分より強い相手と戦って、一番になる」と、世界王者としての覚悟を示した。
次戦は年内に指名挑戦者を迎えての初防衛戦が濃厚。わずか65秒で歴史を塗り替えた新王者が、今度は追われる立場として世界の強豪を迎え撃つ。
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