諦めるのが、あまりにも早い。
ベジータ:そういうモチベーションでボクシングしてるのも、悪くないんじゃないかな?あまり公言する選手は少ないけど、いいと思う。
二葉:そうですかね?
ベジータ:うん。だって、皆が皆世界チャンピオンを目指さないといけないわけじゃないでしょ?
二葉:まぁ、そうですね。
ベジータ:A級になることを目標にして、それを達成した。それだけでも十分すごいことだと思うよ。
二葉:ありがとうございます。
ここまで聞いて、僕は二葉という選手に少し興味が湧いてきた。
ボクサーは、どうしても「強さ」を求められる。勝ちたい、上に行きたい、タイトルが欲しい、チャンピオンになりたい。
もちろん、それは素晴らしいことだ。しかし、ボクシングを続ける理由は、それだけじゃない。
「自分がどこまでやれるのか」
「試合に勝ったときのうれしさを味わいたい」
「ジムに行くのが楽しい」
「健康のため」
「仲間がいるから」
理由なんて、人それぞれでいい。
二葉の場合は、もしかすると「A級になりたかった」。
そして、本当にA級になった。それなら、次の目標を無理に作らなくてもいいのかもしれない。
ただ、不思議なのはそんな二葉が、なぜボクシングを続けているのかということだ。
ベジータ:じゃあ、A級になった今は何を目標にしてるの?
二葉:うーん……。
しばらく考えたあと、二葉は少しだけ笑った。
二葉:まぁ、次の試合は勝ちたいですね。
それでいい。もしかすると、こういうボクサーが一番長く続くのかもしれない。