ベジータ石川が九州のボクサーの魅力を伝える「スカウターコラム」。今回は元OPBF東洋太平洋女子ミニマム級王者の葉月さな(41=白銀)を紹介する。
「苦労は買ってでもしろ」と、人は言うけれど、そんな甘いものじゃない。
そんな境遇に遭うと、もう苦労なんていらないと思うはずだ。こんな私だって、40年近く生きてきて、そう思う時があった。
彼女の話を聞くだけでも、そんな苦労のレベルではなかった。
葉月さな(白銀)。
現在はWBC、IBF、OPBFの上位にランクしている。
小学1年の時に両親に捨てられ、弟2人とともに児童養護施設で育てられた。中学卒業と同時に施設を出て、17歳で出産。以来、シングルマザーとして長男を育ててきた。
そんな中、実の弟が自殺する悲劇に見舞われた。
全く、ボクシングとは無縁の生活だった。
ある日、息子に誘われて、一緒にボクシングで身体を動かしてみた。
虜になったのは、母親の方だった。
そこから、ボクシングに熱中していく。
脇山さなえ(本名)から、何かに変わりたくて、葉月さな(リングネーム)に。
話の情報量の多さに、なんと言えば良いか分からず、私は頷いていると、
葉月:いろんな意味で、今が1番強いですよ(笑)
ベジータ:さすがです。ありがとうございます。
葉月:私は、生物学的に強いですよ(笑)
ベジータ:さすがに強いと思います。自分なら、逃げ出している。
葉月:リングに上がるとは、リアルに命の危険がある。それを選んで、私はリングに上がっています。その選択は、弟のしたことと変わらないのではないか? と、時を経て思うようになりました。
生物学的に、いや、人間的にも強い。
ベジータ:ボクシングの方も、九州では実績もキャリアもトップクラスですね。
葉月:『頑張ったね』、をもらうためにやってるんじゃない。結果が欲しい。プロボクサーが私の仕事なので。
と、結果を出してない私を見つめながら言う。
葉月:あっ!ベジータさんは逆に1周回ってプロだと思いますよ(笑)。
また、大人に気を遣わせてしまった。