日本スーパーウェルター級2位の加藤寿(37=熊谷コサカ)は、4月1日(土)にエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館・第2競技場)で開催される「3150FIGHT SURVIVALvol.4」で、同級1位の中島玲(24=石田)との暫定王座決定戦に臨む。
これまでランカーの高い壁に阻まれてきた加藤だが、ボクサー定年37歳の誕生日を迎える前日に安達陸虎(大橋)に2回TKO勝ち。奇跡のランキング入りを果たすと、キャリア17年目でついにタイトルマッチの舞台に上がる。
拳を交える中島は、ハンドスピードとテクニックを持つ強敵で、これが2度目のタイトル挑戦だ。加藤が所属する熊谷コサカジムは、元WBA世界スーパーウェルター級王者の工藤政志氏を輩出。勝てば約45年ぶり、ジム2人目の日本王者(工藤氏は日本ミドル級王者)誕生となる。
■キャリア17年目で、念願のタイトルマッチです。
加藤 いや〜!長かったですね。やっとですよ。ランキングに入って、すぐにやれるとは思っていなかったのですが。でも、やりたかったのでうれしいです。
■ランキングもずっと入りたかった、と話していましたよね。
加藤 そうです!とにかくまずは、日本ランキングに入りたかった!念願が叶ってやっと入ることができました。でも、うれしかったのは一瞬ですね。他の記者に「日本ランカーになって何か変わりましたか?」と聞かれたのですが、特に変わりがなく…。何も変わらなかったなぁと。
■しかし、あの一戦(安達戦)で勝てなかったら引退していたわけで。
加藤 勝ててこうして続けていられるので、変な言い方かもしれないですが、このタイトルマッチは頑張ってきたご褒美みたいな。勝てなくて腐った時期もありましたが、続けてきてギリギリ生き残ることができた。なかなかタイトルマッチって、できるものではないじゃないですか。運も必要ですし。それがこの1年でポンときたので。
■昨年の今頃は、まだランキングに入っていなかったですよね?
加藤 はい。アキレス腱を切ってリハビリ中で絶望していました。
■試合直前に大けがをして、そこから半年で完治してよくリングに上がれたなと思いました。
加藤 担当医に「試合まであと半年しかないけど、できれば復帰したいのです」と話したところ、「普通に考えて無理だと思う。半年かけてやっと運動ができるようになるくらい。できる限りのことはします」と言われました。コンビを組む齋藤健太トレーナー(30)が鍼灸師の資格を持っているので、病院でリハビリをしてジムでは彼にケアをしてもらいました。全部タイミングですね。大橋秀行会長や安達君が「 試合をしましょう」と言ってくれなかったら無理だったので。感謝しています。
記念挑戦にするつもりはない
■先ほど「タイトルマッチは頑張って来た自分へのご褒美」と言いましたが、そこで満足するつもりはないですよね?
加藤 もちろん。当然、記念挑戦にするつもりはないです。チャンピオンになるために続けてきましたから。自分だけではなく、ベルトを見たいと言ってくださる方に見せたい。下馬評はかなり不利ですが、できる限りのことをして万全の準備をしていきたい。
■2015年12月の試合を最後に3年半のブランクがありますが。
加藤 ランカーに3連敗して「もうダメかな」と思ってジムから足が遠のきました。しかし、やりたい気持ちもあり、迷っている中で先代の会長の母が亡くなり、ジムの皆で集まった時に「ボクシングがしたいんじゃないの?」と言われて、もう一度考え直そうかなと。悔いを残したくなかったですから。
■勤務先から熊谷コサカジムまで結構時間がかかると聞きましたか?
加藤 車で1時間くらいでしょうか。往復で50qです。ボクシングを始める上でいくつかジムを回りましたが、自分と同じサウスポーの日本ランカーがいて、強い選手がいるところでやりたいなと思い、入門しました。