■前戦、最後に決めたワンツーもそうですが当て勘も目を惹きます。
松本 無意識にパンチを出しているのであまりわからないですね。イケるという感覚もないのです。前回も4ラウンドが終わってから「経験として、変に倒しにいくのではなく判定勝ちでもいいかな」と思って。そしたら無駄な力が抜けてワンツーが入りました。
■周りからはKO勝ちを期待されると思いますが。
松本 そうですね。ただ、自分自身、パンチ力があるという感覚もないので、振り回すのではなく、タイミングに重きを置いていきたいです。
■井上尚弥選手とスパーリングをしてアドバイスをもらうことはありますか?
松本 はい。やはり視点が違うなと思いますね。言われなかったら気がつかないことを言ってもらいました。トップ選手の中でも、尚弥さんは考えている次元が違うなと思います。だから、日本人選手の枠を超えているんだなと思います。
■攻撃を仕掛けてもすぐに対応してくるということですが。
松本 はい。例えば中間距離で良い感じで戦っても、次は徹底的に潰されます。1度やって次に対応されるのであればまだわかるのですが、向き合って1分で対応されるという感覚があり、見切られています。尚弥さんとスパーリングする時は、自分の野性的な感覚プラス、先を見ないと相手にならなくなる。
■松本選手は、不動産会社で勤務しながらボクシングをしていますね。スーツを着て仕事帰りにジムに来るのをよく見かけます。
松本 大学を中退しているので社会勉強がしたいのと、生活リズムを自然と整えたいと思ったからです。早い時間に起きて仕事をして、夜はしっかりと寝たいなと思いました。仕事は設計の補佐のようなことをしたり、家の引き渡しの際、手が足りない時は、お客様に建物の説明をしたりなどをしています。
■仕事をしている上でプラスになっていることを教えてください。
松本 以前より考える力がついたと思います。どのようにしたら効率よく仕事ができるかを考えながらしているので、ボクシングでもどう効率よく動きながら、練習をしたら身に付くかを考えるようになりました。(仕事を)始めたばかりの頃は大変でしたが、今は慣れてきて今はやっていて良かったと思います。