■試合前のボクモバインタビューで「これまで培ってきた貯金で勝っている」と言っていましたが実際にはどうでしたか?
黒田 それはその通りだと思いました。そこは変わらなかったです。今まで積み重ねてきたキャリアに上積みはそこまでないのですが、培ってきたものが大きかったです。

■ただ、難攻不落かというとそうでもないと思いますが。
黒田 はい。後半はガードが空いたところにパンチが入り、少しは効かせられました。ただ、ムザラネの方が一番やらないといけないことに徹していました。とにかく徹底してガードをかためてジャブ、ワンツーを打ってきました。

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■通用したところはありましたか?
黒田 う〜ん、プレッシャーをかけて手数を出せたのと、急所には当たらなかったにしろ、ボディを打っていたので相手にとってやりずらくはさせたのかなと思います。逆に自分が前に出たのでKOパンチをもらわなかったんだと思います。でも、そういう状況になった時点でムザラネの思うツボだったかもしれません。自分のやりたいことはできました。でも、逆に言えばそれは彼の思うツボだったと。

■なるほど…。
黒田 ガードの上からでもパンチは当たるのでリズムが取れるといえば取れるのです。打っている方も感触が良いので、「これを続けていれば、急所には当たっていなくても体力勝負に持っていけばいつかは動きが止まるのではないか」と思ったのです。でも、今考えたら、思い切って足を使って距離を取っても良かったかな。

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■八重樫選手ともスパーリング経験のある黒田選手ですが、八重樫選手が勝っているなと思うところがあれば教えてください。
黒田 一瞬一瞬のスピード。踏み込みの速さやハンドスピードは、八重樫さんの方が上です。

■逆に八重樫選手が気をつけた方が良い点は?
黒田 八重樫選手は顔が腫れやすいと思うので、相手は腫れたところにお構いなしにジャブを当ててくるので、そこが一番怖いかなと思います。

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■どのような展開になると予想しますか?
黒田 八重樫さんは攻防の引き出しが多いので出入りしたり、左右を切ったり、かき回すのではないかと思います。ムザラネはそんなに動かないのでそこで周りから崩していくんだと思います。崩しにいく八重樫選手と、崩されまいとするムザラネ選手、どちらが上回るのか。打ち合いになれば八重樫さんの方がハンドスピードがあるのでカウンターが入れば。ただ、ムザラネはガードが硬いですし、コンビネーションのつなぎもスムーズです。そこは、やってみないとわからないですよね。

■では、最後にボクモバユーザーにメッセージの方をお願いします。
黒田 はい。ここまでボクシングをしてきたので、ボクシングは僕に一生ついて回るものだと思っています。逆に言えば、それは誇らしく思います。「まだ、やっているのか」と思いつつも応援してくれたらうれしいです。復帰するかはもう少し熟考しようと思います。

■どうもありがとうございました。

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「ボクモバの目」
　ムザラネ戦を振り返り、実にわかり易くムザラネの強さを説明してくれた黒田。そして、人生をかけた大一番で悔しい思いをし、これからのことをじっくりと時間をかけて考えている黒田の苦悩も十分伝わってきた。復帰を決意したらそれは相当な覚悟でリングに戻ってくるに違いない。23日の世界戦を見て黒田は何を感じるのか――。
<取材・構成/やすおかだいご>
<写真/KISHIMOTO・ボビー・SUMIO YAMADA>

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