IBF・WBA世界バンタム級王者の井上尚弥(大橋)と世界5階級制覇王者で現WBA世界バンタム級スーパー王者のノニト・ドネア(比/米)とで争われるWBSS(ワールドボクシングスーパーシリーズ)決勝戦が11月7日(木)、さいたまスーパーアリーナで開催される。決勝戦を前に世界3階級制覇王者で世界バンタム級10度防衛の輝かしい実績を誇る長谷川穂積氏(真正→引退)に試合の展開予想をしてもらった。WBSS決勝にとどまらず井上尚弥の今後についても話が及んだ。
■まず、この決勝カードが決まった時はどのような感想を持たれましたか。
長谷川 グラスゴーでの試合は事実上の決勝戦と言われていましたし、僕もそうやと思って見ていました。あの試合に勝った方が優勝すると思って見ていたので、決勝の相手がドネア選手とになったということに関してそれほどの興奮はなかったです。これがゾラニ・テテ(南ア)とかならもう少し興味を持ったかもしれません。
※ゾラ二・テテ (南ア)2階級制覇王者で現在 WBO世界バンタム級王者 WBSSは怪我のため途中棄権
■かつて、長谷川さんも対戦希望したこともあるノニト・ドネアという選手をどのように見ていますか。
長谷川 1番良い時のドネア選手は頭が良かったです。打つ場所を探す点だったり、もちろんパンチ力もあったし、反応速度も悪くなかった。まともに効いて倒されるドネアは想像できなかったですから。負け姿が想像できなかったからこそやってみたいと思っていました。
■同様に井上尚弥という選手をどのように分析していますか。
長谷川 完璧でしょう。技術、試合の中での修正能力、パンチ、引き出しも誰より持っている。
■長谷川さんが、現役だったら、井上選手の何が欲しいと思いますか。
長谷川 パンチですね。僕とは種類が違う。井上選手はキレと重みがある。僕はキレで倒してきたので。キレも重みもあるボクサーなんてなかなかいないですよ。
■ズバリ、ドネアはピークアウトしたと思いますか。
長谷川 もちろんピークは超えています。彼はキャリアで戦うしかない。あるとすれば体格のアドバンテージくらいですね。スーパーバンタム級、フェザー級を経験してバンタム級に戻ってきたわけですから。
■長谷川さんがバリバリの現役時代、井上尚弥をどう攻略しますか。
長谷川 僕の場合は手数、スピードでポイントアウトするしかないでしょうね。井上選手は、空間とタイミングを支配する選手ですから連打はない。なんとなくポイントを取りながら12ラウンド戦うしかないでしょうね(笑)。